【交換《シェア》】

「食べないの?」

 袋の封を切った琴美は首を傾げた。

「いや……食べるけどね」

 今朝は寝不足で食欲が無く、朝食をあまり食べられなかった。

 今になってやっと胃が起きて、ちょうどお腹が空いてきたところだった。

 なので、ここはありがたく頂戴しておく。

「そうだ!」

 ポテチを一口食べてから、羽音は思い出した。

「あたし達も持ってきたから、交換シェアしよう」

 それから音羽の方を向く。

「ねぇ、おと……」

 そして、固まった。

「ん~?」

 音羽が自分の旅行カバンからお菓子を取り出して、食べ始めていたからだ。

「って、なに、一人で先に食べてるの!?」

 ほんわか笑顔の音羽に、目を三角にして突っ込む羽音だった。

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