【とりあえず出発】

 七時になったところで、担任がクラスごとに列にまとめて点呼を取った。

 それを学年主任が確認してから、旅行に関する注意事項を説明した。

 そして、壱組から順番に改札を抜けてホームへと上がった。

 予め決めておいた席順に従って、乗車列を作る。

 そして、新幹線がやって来た。

 教師が見守る中、車内へと乗り込む。

 新幹線に乗り込んだ音羽と羽音、それに琴美と薫は、二人がけのイスを回転させようとした。

「これ、どうやって回転させるの?」

 首を傾げる琴美に、薫が真顔で説明した。

「確か、イスの下のペダルを踏むはずだ」

「できた、できた」

 それから席に座ると、早速とばかりに琴美は旅行カバンからお菓子を取り出した。

「ねぇ、なに食べる?」

「いきなり?」

 まだ出発して間もないのに、ニコニコしながら二つ、三つ、とお菓子を取り出す琴美に呆れる羽音だった。

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