【日本一の山】

「みんな、見た事無いでしょ!?」

 初めて生で見た日本の最高峰を必死になってアピールしようとした。

「天気のいい日は~、毎日見れるよ~」

 それに対して音羽は、ほんわか笑顔で否定する。

 双子が住んでいる瀬渓区は横浜の外れにある事もあり、富士山が見えるのだ。

「同じく」

 真顔で薫も応える。

 薫が住んでいるのは、市中央の茅ヶ崎区に住んでいるが、部屋が高層マンションの為、いつでも富士山を見る事が出来た。

「そうなんだ……」

 感動を共有できずに、琴美はシュンとなった。

「そうだ!」

 それを見た羽音は、慌てて取り繕った。

「せっかくだから富士山を背景バックに写メ撮ろうよ」

「うん!」

 その提案で笑顔を取り戻す琴美だった。

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