【決定事項】

「いらっしゃい、音羽ちゃん」

 音羽達が店に入ると、やはり甘ロリ服に身を包んだ店員が笑顔で声を掛けてきた。

「こんにちは~」

 店員とは顔馴染みらしく、音羽も親しげな笑みを浮かべて挨拶する。

「ちょうど新作が入荷したところなのよ」

「うん~、そう思って来たの~」

 そんなやり取りを羽音は少し離れた所で見ていた。隣に立つ琴美は、こういう店に入ったのは初めてだったので、物珍しそうにきょろきょろと店内を見回している。

「試着してみて~、いい~?」

「どうぞ」

 店員に断りを入れてから、音羽はウキウキした表情で文字通り品定めを始めた。そして、

「じゃあ~、琴美ちゃんのも~、わたしが選んであげるね~」

 と、さも当然のように言った。

「えっ?」

 音羽の完全な不意打ちに、目眩を覚えたように首を振る羽音の横で、凝固フリーズしてしまう琴美だった。

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