【ウルルン攻撃】

「これなんか、どうかな~?」

 まったく空気を読まず、にこにこと笑みを浮かべた音羽は、手に取ったジャンパースカートを自分の身体に当てると琴美に見せた。

「あっ、可愛いかも」

 まだ不意打ちの余韻が残っていた琴美は、リボンが多数あしらわれたスカート部分に素直な感想を述べてしまう。

「って、本当に着るの?」

 が、直ぐに我に返ると、下から伺うように聞いた。

「着ないの~?」

 それを聞いた音羽は、まるでこの世の終わりが来たかのように哀しそうな顔をする。それから目を潤ませて、じっと琴美を見詰めた。

(うっ・・・・・・)

 琴美は心の中でたじろいだ。まるで捨てられた子犬のような表情に、良心がちくちく痛む。

「・・・・・・着ます」

 負けたように肩を落として、琴美は力無く呟いた。途端、慢心の笑みを顔いっぱいに浮かべる音羽だった。

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