【私服の好み】
駅を出た三人は、そのまま南幸橋の方へと歩き出した。そこにあるブランド店が多数入ったファッションビルが今日の目的地だ。
「……」
その途中で羽音は、琴美が自分と音羽の服を見比べているのに気付いた。今日の羽音は、長袖カットソーにキャミソール風のワンピースを着て、下にはレギンスを履いていた。髪は後ろで束ねて、大きめのリボンで結んでいる。
「ん? どーしたの?」
「さすがに私服は、同じじゃないんだなぁ、って」
琴美の言葉に、羽音は思い当たったような顔をする。学校での会話を覚えていたのだ。
「う~ん・・・・・・本当は、あたしもおとはと同じ服を着てみたいんだけど……」
そう言ってから羽音は、隣をちらっと見た。ピンク色の長袖ブラウスに、それよりも薄いピンク色でフリルがあしらわれた半袖寸のリボンジャンパースカート、足には同色のオーバーニーを履き、頭にはやはり同色のリボンカチューシャを付けた――甘ロリ服を装った姉の姿を。
「恥ずかしくて着れない……」
「……確かに」
周りから思いっきり注目されまくってる音羽を見て、思わず納得してしまう琴美だった。
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