【気まずい空気】

「ご、ごめん!」

 とりあず謝る、それが琴美が最初に思いついた事だった。風切り音が出そうなぐらいの勢いで頭を下げる。

「なんで、謝るの~?」

 しかし、それを見た音羽は不思議そうな顔をする。

「だって……」

 本気でわかってないような表情に、琴美は困惑した。そんな二人のやり取りに、羽音は冷汗笑いを浮かべるしかなかった。

「まぁ、大抵は引くよねぇ……」

 そう思ったから本当の事を言うのを躊躇ためらったのだが、こうなっては仕方ない。

「けど、あたし達は、生まれた時からこれが普通だから」

 柔らかな眼差しで琴美を見詰めながら、羽音は流すように言った。

「だから、気にしなくていいよ」

「うん~」

「……ありがとう、音羽ちゃん、羽音ちゃん」

 羽音の言葉と頷く音羽のほんわか笑顔に双子の気遣いを感じて、心が暖かくなる琴美だった。

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