【羽音の場合】

「ところで~」

 ほんわか笑顔を浮かべながら、音羽は首を傾げた。

「はのんちゃんは、行きたいところないの?」

 今日のLHRロング・ホーム・ルームでも、羽音だけは自由行動で行きたいところを言わなかった。音羽としては、それが気になっていたのだ。

「うーーーん」

 羽音は腕を組んで考え込んだ。

「あたしかぁ」

 琴美達にはあんなことを言ったが、いざ自分の番になると思いつかない。

「そうだなぁ」

 薫が言ったように、京都らしいところは団体行動で行く事になっている。

「行きたいところ……ね」

 だからといって、音羽や琴美、薫のように趣味全開ではっちゃけることも、自分的には無理そうだった。

「特に、無いかな」

 なので、あっさり考える事をやめる羽音だった。

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