【音羽、暴走】

「やっぱり~、そ~だぁ~!」

 嬉しそうな笑顔で音羽は、後ろから藍子の頬に自分の頬を擦りつけた。

「ぶ、部長!?」

 抱きしめられた時は混乱パニックおちいりかけた藍子だったが、

視線を後ろに向けて相手が音羽だとわかると、少しほっとした。

「こんなところで~、偶然だね~」

 音羽は後ろからいそいそと藍子の胸を撫で回し始めた。

「は、はい……」

 公衆の面前で過剰なスキンシップをしてくる音羽に、藍子は照れながらも困ったような笑みを浮かべる。

”ガシッ!”

 すると、音羽の左右の肩に、背中からそれぞれ別の手が伸びてがっちりと掴む。

 右には羽音が、左には野神夕貴のがみゆうきが鬼ような形相で立っていた。

 二人は、そのまま強引に哀歌から引き剥がす。

「何やってるのっ!」

 そして、声を揃えて音羽を怒鳴りつける羽音と夕貴だった。

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