【野放し】
「いきなり走り出したと思ったら……!」
「どこから沸いてきたんだよ!」
羽音と夕貴は、左右から触れ合わんばかりに音羽に顔を寄せて、怒った。
しかし、音羽は気にしない素振りでほんわか笑顔を浮かべている。
「おはようございます、部長、副部長」
そんな音羽と羽音に、藍子は丁寧に頭を下げて挨拶した。
それで怒りを収めた羽音と夕貴は音羽を解放した。
「ん、おはよう」
それから挨拶を返す。
「おは~……」
音羽も慢心の笑顔で藍子に向き合う。
「よ~!」
そして、正面から藍子を抱きしめた。
「!」
「!?」
藍子はびっくりしたが、それ以上に驚く羽音と夕貴だった。
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