【別れて、そして】

 お互い、まだ買い物があるので、音羽達と藍子と夕貴はそこで分かれた。

「藍子ちゃん~」

 音羽最後まで、なおごり惜しんでいたが、それを羽音と夕貴で強引に引き剥がしたのだ。

「はのんちゃんの~、いけず~」

 引きずられるように、それでもほんわか笑顔で藍子に手を振る音羽を藍子は苦笑いで見送った。

「こんなところで部長達と会うなんて、びっくりしたねぇ」

「ってく、油断も隙もないんだから」

 藍子は笑っていたが、夕貴は憤慨していた。

「しかも、いきなり遠野に抱きついてっ!」

 怒りを露わにして詰る夕貴を、藍子はなだめた。

「あれは……ほら……」

 そして、にっこり微笑む。

「スキンシップみたいなものだからぁ」

「いや、絶対本気でしょう」

 そんな藍子を濁った目で見る夕貴だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る