【乙女心下心】

「なんで、一緒に入ろうとしているのっ!」

 首根っこを掴んだまま、眉をつり上げて羽音は怒鳴った。

「え~っ、だって~」

 それに対して音羽は、にっこり微笑んで力説する。

「琴美ちゃん~、こういう服、初めてだから~、手伝ってあげようかな~、って~」

 しかし、羽音は納得しなかった。濁った目でさらに聞く。

「……それだけ?」

 すると音羽はちょっと照れたように身体をくねらせながら、無垢な笑顔で言った。

「あと~、着替えるのを手伝ってあげながら~、ちょっとおっぱい触ったり~、おしりを触ったり~……」

「…………」

 思った通りの答えだった。

「やっぱり、駄目!」

 即却下した羽音は、そのまま引きずるように姉を試着室から引き離す。

「あぁ~ん」

 まるで玩具を欲しがる子供のように手を伸ばして、笑顔で哀願する音羽だった。

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