【帆走】
羽音が音羽に説教して、それから羽音の服――ピンク色の半袖ブラウスに同じピンク地に蝶をあしらったハイウエストジャンパースカートを着て、髪には同柄のリボンカチューシャ、足にはクリーム系のオーバーニーを履いている――に琴美が改めて歓声を上げてから、いよいよ、琴美の番になった。
「じゃあ~、次は、琴美ちゃん~」
「う、うん」
ほんわかと微笑んだ音羽に、琴美はぎこちなく頷いた。明らかに緊張している。
「じゃあ、行ってくる」
「うん」
まるでこれから敵の包囲網を突破する兵士のごとく真剣な面持ちの琴美を、羽音は冷汗半分、心配半分で見送った。
靴を脱いでカーテンが開けっ放しの試着室へと入る。
「♪~」
と、うきうき笑顔の音羽が、当然のように続けて中へ入ろうとする。
「ちょっと待った!」
その首根っこを捕まえて、姉の行動を阻止する羽音だった。
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