【お披露目】

「もうっ! なに、やってるのよっ!!」

「いっ~たぁ~い~」

 即座に、音羽の頭に羽音の鉄拳が飛ぶ。涙目の音羽は、本当に痛そうに頭を押さえていた。

「大丈夫?」

 それから羽音は、心配そうに試着室を覗き込んだ。

「うん……ちょっとびっくりしただけ」

 僅かに目を潤ませながらも、琴美は平気そうに笑った。

 羽音に手を貸してもらって立ち上がる。琴美が着たのは、フリフリの白いブラウスに、前が胸の下まで空いた水色のリボンスカラップジャンパースカートで、足にはボーダー柄のオーバーニーを履き、頭には白いレースカチューシを付けている。

「…………可愛いじゃん」

 その姿を見た羽音は、素直な感想を言った。

「うん~。恥ずかしがることないよ~」

 と、回復した音羽もほんわか笑顔で同意する。

「そ……そうかなぁ?」

 双子に褒められて、照れながらも満更でも無さそうな琴美だった。

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