【着替え終わって】

 そのまま三人は少し大きめの姿見の前に移ると、真ん中に音羽が立ち、左右に羽音と琴美が寄り添うように立った。

「どれにしようかな~。迷うな~」

 鏡に映る自分達の姿を見ながら音羽は、困ったような笑みを浮かべて思案した。

「もしかして、自分が欲しかった服、あたし達に着せてたの?」

 すかさず、羽音が呆れ顔で突っ込む。う~ん~、とほんわか笑顔で頷いてから、また迷う。

「こっちもいいけど~、そっちも捨てがたいな~」

「どれも可愛いよねぇ」

 と、琴美が、ちょっと興奮気味に同意する。最初こそ照れが残っていたが、今や完全にノリノリで鏡に映る自分の姿を携帯で写していた。

 そんな琴美をちょっと呆れ気味に眺めて羽音は改めて鏡に映る羽音を見た。

(わぁ……)

 その姿はいつも家で見る音羽そのものだった。

(あたし……今、おとはと同じ格好なんだぁ…………)

 今まで憧れていても踏み切れなかった自分の一番好きな相手ひとと同じ服装ファッションを身にまとうことが出来て、とても幸せな気持ちになる羽音だった。

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