【級友な理由《わけ》】

 後輩女子が行くのを待ってから羽音は音羽に声を掛けた。

「今の誰?」

「委員会の娘だよ~。今日の集まりの件で、ちょっとね~」

 それに対して音羽は、いつものおっとり口調で答える。どちらかというとハキハキしゃべる羽音とは対照的だ。

「はのんちゃんに、ごめんなさいって謝ってたよ~」

「クラスの達も時々、間違えてるよねぇ」

 一緒に音羽の所まで来た琴美も会話に加わる。今年、初めて双子と同じ学級になった琴美は、最初、羽音と仲良くなり、最近になって音羽とも喋るようになった。

「なんで、双子をわざわざ同じクラスにするんだろうねぇ?」

 その為、双子の事をよく知らず不思議そうな顔をする琴美に、音羽は静かな笑みを漏らした。

「うふふふふふ~……」

 それから芝居かかったような調子でおもむろに微笑む。

「知りたい~?」

「えっ? なんかあるのっ?」

 思いも寄らない言葉に驚いく琴美に、意味ありげな笑みを浮かべる音羽だった。

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