【瓜二つ】

「なに? なに? 今の?」

 女子生徒が音羽の方へと駆けて行くのを見送ると、騒ぎに気付いた同じ学級の夏川琴美なつかわことみが興味津々で寄ってきた。ツインテールところころ変わる表情がトレードマークの少女だ。

「いつもの事」

 女子生徒が音羽に話し掛けるのを眺めながら、羽音は肩を竦めてやれやれといった表情で言った。

「おとはと間違えられた」

「二人って、よく似てるもんねぇ」

 それを聞いた琴美は、納得顔で目の前の羽音と女子生徒と話す音羽を見比べた。

「髪型まで一緒だし」

 性格は全然違うのに、とコロコロ笑う琴美を尻目に、羽音はぎくっとなった。

「ふ、双子だから、好みも似るんだよ」

 内心、焦りつつも直ぐにそんな誤魔化しを口する。

「ふーん、そんなもんなんだぁ」

 そんな級友の様子にまったく気付かないで、琴美は呑気に応えた。動揺を見透かされずに済んで、ほっと胸を撫で下ろす羽音だった。

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