【願いは?】

 次の薫は、健康を選んだ。

(どれにしよう……?)

 順番を待ちながら羽音は思案した。

(やっぱり、ここは縁結び、だよね)

 そして、決意する。

 羽音の想いは叶わないものだ。

 それでも願わずにはいられなかった。

 すると、自分の番になった音羽が杓を持って歩き出す。

 迷わず、縁結びへと向かった。

「!?」

 それを見た羽音は息を呑んだ。

 一瞬、足が地に着かなくなる。

 天地がひっくり返るような感覚に、倒れそうになった。

 辛うじて意識を保った羽音は、自分の番だという事を思い出して、震える手で杓を取った。

 そして、危うい足下で滝へと向かう。

 最初の想い通り、縁結びの滝を呑む羽音だった。

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