【企み】

 双子が着替えている間、琴美は胸をどきどきさせながら待っていた。と……

「おまたせ」

 カーテンが半分開き、中から、緑色のフリフリブラウスに、ミント系のハイウエストリボンジャンパースカートを被った羽音が出てきた。頭には同色のハーフボンネット、足にはクリーム色のオーバーニーを履いている。

「ど・・・・・・どうかな?」

「わぁー! 凄く可愛い!」

 照れるような仕草の羽音に、琴美は顔を綻ばせて歓喜の悲鳴を上げる。

「そ、そうかな・・・・・・」

 その反応に頬を赤くした羽音は、はにかみながら目を伏せようとした。しかし……、

”ゴツン!”

 試着室の奥から伸びた手刀が脳天にヒットして、動きが止まる。

「いたっ!」

 続いて、試着室から怒りの形相でもう一人、羽音が出てきた。

「なに、あたしのフリしてんるのっ!」

 一瞬、何が起こったのかわからず、唖然としてしまう琴美だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る