【本命】

(……失敗しちゃった~)

 ベッドに寝そべった音羽は、額に右腕を載せて、羽音が寝ているはずのベッド上段の底板を見詰めていた。顔には、滅多に見れない反省の色が浮かんでいた。

 さっきのことを思い出すとまだ顔が赤くなる。妹の言葉につい反応してしまった。本当は笑ってやり過ごさなくてはいけなかったのに。

(はのんちゃんに、わかっちゃったかな~)

 寝返りを打って俯せになる。それから枕元に手を伸ばして携帯電話を取った。二つに開いて画像フォルダを選ぶ。そこから一枚の画像を呼び出した。

(わたしの一番好きなが、誰なのか~)

 一人きりでその姿を見ていると、普段は押さえている感情がどんどん溢れてくる。自然と目が潤み、顔は恍惚の表情になった。

 鼓動が早くなるのを感じながら、音羽はゆっくりと携帯に顔を近づけた。

(…………大好き~)

 そのまま画面に唇を寄せて、そこに写るにそっと口づけた。

 まだ心臓がドキドキする。身体が熱い。この火照りを慰めてからじゃないと今夜は眠れないかな~? と思う音羽だった。

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