【相場師?】

「相場師っていうのは、うーんと……個人で株の取り引きをして、生計を立ててる人……かな?」

 仕方なく羽音は、なるべくわかりやすい単語を選びながら、琴美に説明した。

「お母さんは~、家からPC使って~、株の売買をしてるの~」

 それを音羽がほんわか笑顔で補足する。双子の母は凄腕の相場師で、日本だけでなく海外市場でもその名を轟かしていた。

「へーっ。なんか、凄い」

 琴美は、素直に感心した。それからハッと気付く。

「もしかして、二人も株、やってるの!?」

「まさか!」

 驚きの声を上げた琴美に、羽音は慌てて両手を壁のように立てるとふるふると左右に振った。

「あたしとおとはは、お母さんに頼まれた資料を集めるだけ」

「ネットとか~、廻ってね~」

 それをまたもや音羽が、絶妙のタイミングで補足する。その為、音羽と羽音は、母からそれぞれ自分用のノートPCを与えられていた。

「それでも、充分、凄いよ!」

 あたし、PCとか苦手だし、と双子を尊敬の眼差しで見る琴美だった。

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