【ただいま授業中】
「Let's just see. Let's test the reaction time of your brand new mobile suit.」
静まりかえった教室で羽音の読み上げる英文だけが響いていた。窓際で背筋を伸ばして立ち、凛とした口調で教科書を読み上げる羽音は、少女というよりもむしろ少年のようにも見えた。実際、級友達の中には、まるで
「はい、そこまで。次は……音羽さん」
「はぁ~い」
教師の声に羽音は言葉を止めて席に着く。入れ替わりに教室の入り口付近の席から音羽がゆっくりと立ち上がった。
「Nobody ever likes to admit, to mistakes due to his own youth.」
柔らかな仕草で教科書を持った音羽は、いつものごとく口元に軽く笑みを浮かべながら、ゆったりとした口調で英文を読み始めた。その姿はまるで慈愛に満ちた女神のようにも見えた。羽音とは別の意味で級友達は憧れの眼差しを音羽に向けていた。
(…………本当に誰も気付いてない)
しかし、ただ一人、琴美だけは心の中で冷汗笑いをしていた。今、教科書を読んでいるのは実は羽音で、自分の目の前に座っているのが音羽だというのを知っていたからだ。
音羽の言葉通り、双子の演技力を見せつけられて感服するしかない琴美だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます