【懸念材料】

「班長なら、部長もやってる音羽の方が適任だよ」

 助けを求めるように、羽音は音羽を見た。

「自分もそう思う」

 薫が真顔で頷く。

「音羽ちゃんが班長になったら……」

 すると、琴美は遠慮がちに言った。

「自由行動の時、可愛い女の子を追っかけてフラフラとあっち行ったり、こっち行ったりして、迷子になりそう」

 その言葉に、羽音と薫はハッとなった。

 そして、音羽をマジマジと見詰める。

「……嫌だな~、そんな子供みたいなこと~、しないよ~」

 音羽はほんわか笑顔を浮かべた。しかし、羽音は見逃さなかった。姉が一瞬、考えたのを。

「……わかった、あたしがやる」

 それで羽音は諦めたように肩を落とした。

「わぁーい!」

 懸念材料が消えて、思わず万歳する琴美だった。

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