【喜びの理由《ワケ》】

 急に元気になった音羽を、羽音はジト目で見た。

「言っとくけど、パンツは試着、できないよ?」

 なので、さっきみたいに一緒に試着室に入る事はできない。

 ブラは試着できる。

 というか、試着した方がサイズに合った物を選べる。

 しかし、ショーツは普通は試着できない事が多い。できたとしても下着の上からだ。

 やはり感覚的に他人が履いたショーツを履くには抵抗があるのだ。

「それぐらいわかってるよ~」

 音羽は当然とばかりの顔をする。

「ただ単に~……」

 それから琴美をチラッと見ると、右頬に手を当てて、にっこり微笑む。

「琴美ちゃんがどんなパンツ履いてるか~、気になるだけだよ~」

「!」

 本能的に身の危険を感じて、琴美は両手で自分の身体を隠した。

「……君は男子中学生か」

 そして、そんな姉の発言に呆れるしかない羽音だった。

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