【五分前行動】

 同じ班の最後の一人、児玉薫こだまかおるは集合五分前に交通広場へ到着した。

「おはよう」

「おはよう、薫」

「おはよう、薫ちゃん」

 敬礼する薫に、羽音と琴美は微笑んで挨拶を返した。

「同志音羽は、まだ熟睡中か」

「そろそろ起こした方がいいんじゃない?」

 琴美が心配そうに時計をチラ見する。

「そうだね」

 音羽の肩にソッと手を乗せた羽音は、ゆさゆさと身体を揺すった。

「おとは、おとは」

 半目を開けた音羽は、焦点の定まらない瞳で羽音を見た。

「あれ~、はのんちゃん~、もう髪~、洗ったの~?」

 そして、首を傾げる。

「なに、寝ぼけてるの!」

 すかさず突っ込む羽音に、冷汗笑いをする琴美と薫だった。

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