【原作付き】

「今年の文化祭で薫の新作を舞台化するって、本当マジ!?」

 血相を変えた羽音は、隣の列から借りた椅子に座ろうとしていた音羽に聞いた。

「うん~」

 そんな羽音を対照的に、音羽はおっとり笑って頷く。

「文芸部と共同作成する事になったの~」

 音羽は、ほんわか笑顔を浮かべて説明した。

「文芸部が原作本を売り、演劇部がそれを公演するのだ」

 それを薫が補足する。

「なんでさ!?」

 だが、演劇部部長の発言に、羽音は慌てふためいた。副部長なのに、そんな話は一言も聞いていない。

「一度、書いてみたかったんだ~」

 そんな妹の態度に動揺する素振りも見せず、頬に手を当てながら音羽は言った。

「原作付きの脚本~」

「……」

 しみじみと目を閉じる音羽に対して、納得のいかない顔をする羽音だった。

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