　ムッとした羽音だったが、音羽を無理に振りほどこうとはしなかった。

「修学旅行の自由行動の事、調べてるの」

　そして、ノートＰＣのキーボードを叩きながら答える。

　検索エンジンにキーワードを入力して、リストを出す。

　それらしいリンクをクリックして、新しいサイトを別窓で開いて中身を確認する。

　それが、役に立ちそうなら残して、役に立ちそうでなければ閉める。その繰り返しだ。

　液晶画面には、いくつかのウインドウが開いていた。

　どれも行き先の候補らしい。

「真面目だな～」

　そんな妹の態度に、音羽はほんわか笑顔を浮かべた。

「ちゃんとやらないと、みんなが困るでしょ？」

　しかし、羽音は真剣な顔で、液晶画面と睨めっこしている。

「あたし、リーダーなんだから」

　言いながら、またもやキーボードを叩いて、検索エンジンにワードを入力する。

「……」

　その頑（かたく）なさに、少し神妙な面持ちになる音羽だった。

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