第77話 紫色の炎
「これは……どういうこと?」
「私が仕組んだ」
「お兄さん、なんでそんなことをするの?」
「復讐のためだよ」
「もしや、十年前の戦の復讐のため……なのですか」
遅れて陣から出てきた
「うん」
「お兄さん。なんでみんなを巻き込むの? 復讐は自分の心にとって大事だって
「間違ってる、そうだね。
そう言うと同時に、
「お兄さん……!!?」
季が霊符から陣を形成し、何人かの人間が叫び声をあげた。邪気を帯びて剣に操られているかのような様子だ。
「師父、あの者たちに何をしたのですか?」
「前もってまじないをかけてあったんだ。
「どういうことですか? 天客が暁片を持っているとして攻め入ったのではないのですか?」
「それは表向きの理由だよ。いや、その理由で攻め入った者たちもいた。本当の理由は、一部の者しか知らなかったようだね」
操られていると思しき人間がこちらに向かってくる。足をもつれさせながらも向かってくる様は、もはや人間の走り方とは言えなかった。
「赤目の白虎! 俺たちに何をした!?」
思考は乗っ取られているわけではなさそうで、男が剣を振り回しながらはっきりとそう叫んだ。季は微笑むだけで答えない。
男の姿を見た秋が素早く走りだし、男と剣を交えた。そして、季に向けて叫んだ。
「師父、貴方の行おうとしていることは常軌を逸している。私は、貴方を止めなければならない。雪雲閣から追われるあなたの手をとり、引き留めることすらもできなかった私にできるのは、それだけです」
男の持つ剣を叩き割り、雪花の鞘を男の鳩尾に食らわせた。男は体勢を崩して、地面に転がった。
「
そして倒れている男に向かって笑いかける。
「では先ほどの君の質問に答えようかな。君たちには陣の贄となってもらうようにまじないを施した。そうでなければ、十年前の敵とどうして手を組もうと思えるだろうか」
倒れていた男が、身を引き裂かれているかのような叫びをあげる。紫色の炎のような何かが男の身体から立ち上る。空を見ると、何本も同じ色の炎が上がっているのが見えた。
「……私は、君たちを許すことができなかった。あの時攻め入った人間を一人残らず集めて殺すのを望みとして、ずっと生きながらえてきた!」
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