第一章 城歴の地にて
第6話 黒衣の白虎
この地に五つの勢力あり。
名を
決まりとして、それぞれの勢力が持つ色と柄をあしらった外套を羽織る。それぞれ一人の政主を置き、門下を統率する。
この地に妖鬼あり。
動植物、人の作りし物は陰の気を帯びて妖となる。
人が死したものは陰の気を帯びて鬼となる。妖鬼
各門、妖鬼を祓い、殺す役割を持つ。
各門、妖鬼を殺す者の頭の役職を置く。
宇宙の均衡を司る四神にあやかり、
◆
その真偽は定かではない。
◆
「おはようございます、白虎殿。
訪ねてきたのは
その姿は品行方正を体現し、振る舞いには一分の隙すらもない。
静虎殿に住む
そして特筆すべきは、秋の羽織っている外套の色が人々の噂と同じく黒く染まっていることである。金色の刺繍が施された外套を羽織り直すようにして、入口付近にゆっくりと歩いていく。
「外は寒い、入れ」
秋が声をかけるとしばらくして、
「本日は
「お前が朝早くに来るほどの情報、か」
もう少し日が昇ると、
それを待たずに冷が静虎殿に来るというのは、重要な情報であると秋は思ったのだった。
秋は木製の
「はい。
その言葉を聞き、秋は眉間にしわを寄せた。
「……その情報の出所は確かか?」
秋が聞くと、冷は頷いた。
「
厄災を招くとされる人間がこの世に生まれると、天地に異変が起こる。そのため、災いが起きる前に殺さなくてはならない。
それが、この地に古くから伝わる話である。
「十五年ほど前、
秋は自身の顎を触りながら、考えこむ仕草をした。
「心に留めておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます