第2話 課された労役
「――
官人として働いていた
◆
着替えながらも、
「――
「……なぜ私にそのようなことを?」
「罪を犯したとはいえど、あなたは官人です。私たちは玄郭の判部ですので、他勢力である城歴李氏に干渉できません。
すがるような目で見てきたので、
「やめてください。官人ではありますが、私はしがない紙職人です。内部で何が起こっているのか伝えることはできると思いますが……あなたがたを助けるほどの力はありません――」
着替えを済ませた
道の両側にも、土でできた壁の一部に木枠がはめ込まれた小さな空間があるようだ。右には注視しないと気づけないくらいの細い道があり、その先に労役に就く者たち専用の部屋があった。その部屋というのが、まさに劣悪な環境であった。明かりとなるのは、小さな銅燈が二つ。
常院楼の者からの説明はほとんどなく、持ち回りで見張りをしてほしいと伝えられたのみだった。このまま何の情報も得られないと、玄郭の判部に情報を伝えることさえもできないだろう。
◆
労役に就いてから数日が過ぎた。地下での衣食住に慣れることはなく、だんだんと
「なあ、
暇を持て余したのか、今回のもう一人の見張りに話しかけられた。何しろ長い間立っているだけの労役なのだ、退屈するのも無理はない。もう一人の見張り――
「私も……同じようなものだよ。はやく労役を終えて家に戻らないといけないんだ」
「へえ! じゃあ俺たち仲間だな」
「――そういえば、仲間のよしみとして忠告するが、あいつには気を付けたほうがいい」
「あいつとは?」
「見張りの中にとびぬけて体格のいいやつがいるだろう? 俺はあいつと同じ
「そうなのか。君は物知りだね、忠告ありがとう」
「そうだ
「いいや、あんたと同じだ。よくわからずに連れてこられただけさ。ああでも、この中にいるのは人間なんだとよ、どんな大罪人なのか噂になってるぜ」
「人間……!? てっきり動物でも飼っているのかと……」
そのとき、小さな動物の鳴き声か、遠い土地の言葉のような音が聞こえた。
「あれ、今何か聞こえなかったかい……?」
「そうか? 俺には何も聞こえねえが」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます