第42話 大会の後始末
常が紙馬から降りると、紙馬はひとりでに折りたたまれて小さくなった。
周りを見ながら黄龍の
棗は門下生たちに指示をしている最中だったが、
「来たか、導き手の子よ」
「黄龍さん。みんなは無事?」
「幸い死者はない。妖鬼の気に当てられた者が多くいるが、元凶は白虎が斬ったためすぐに回復するだろう。傷を負った者についても、
「そうなんだ、良かった」
棗の返答を聞き、常は息を吐いた。
「安堵した顔だな。それにしても、不可思議なことがあった。妖鬼の首の正体は山に住む妖の一種、
常は何度か瞬きをした後、小さく首を傾げた。
「黄龍さんでも分からないことはあるんだね」
「私を何だと思っているのだ、あるに決まっているであろう」
棗は破顔した。政主とはいえど、彼も完璧なわけではない。呪部の
「黄龍さん。…… これも、僕のせいかな?」
常が緊張した面持ちで潤んだ瞳を微かに揺らしながら、棗に問いかけた。門下生たちが手当てを受ける姿を見ていると、怪我をしていないのに心が痛くて、常にはこの光景が自分のせいであるように思われてならないのだ。
「そうでないと証明するのはお前自身だよ。だから、
棗は微笑み、常の頬に流れた涙を拭き取ってやる。
「うん…… 」
常はその言葉に頷き、棗と別れると、客人の寝泊まりする建物である
その姿を見て、
「なあ、
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