第20話 各勢力、集合
辺りを見回している
「見てください常子远、あれが儀仙堂の政主でもあり黄龍でもある
冷の視線の先には、黄龍であることを示す明黄色の外套を肩に羽織り、大広間の正面中央にある
「老化が止まっているので若く見えますが、実年齢は三百歳を超えるという噂もあります。それが本当なら、相当なおじいさんですね。彼はすべての勢力が攻め込んできても軽くあしらうことができるような、かなりの実力者ですよ。さらに相当な切れ者ですからね、あの人には注意したほうがよいです」
小声で冷が説明を続けた。常もじっと
色素の薄い髪が簾のように顔にかかり、睫毛は長く、夕暮れの太陽のような明るい瞳は思慮深く輝いている。
常には、どうしても棗が三百歳には見えなかった。むしろ、美しい天女だと言われたほうが信じられるほどであった。
「そして、私たちと向かい合うようにして座っているのが
その隣にいる青龍の
泉古嶺洞の政主、
対して青龍の
「向かい側の斜め左にいるのは、
政主の
朱雀の
天弥道の政主、
その表情は底知れなさがあり、見つめられると緊張してしまいそうだ、と常は思った。
朱雀である
動きが素早く隙がなくて、実際に前に立つと緊張してしまいそうだ、と常はふたたび思った。
「いろんな人のこと、詳しいんだね」
「ええ、外の者たちとの交流や交渉をするのが私の役目ですからね」
それが当然だというふうに冷は言った。
そう言っているうちに、
「
玄武の
玄郭の政主である
玄武の
「若いのに僕とは大きな差がある」
常は自分と同じくらいの年齢の
「何言ってるんですか常子远、君はまだまだこれからでしょう?」
常の様子を見て、冷がくすりと笑った。
「いや、そうかもしれないけど…… 」
常は今は門下生であっても、今まで鍛錬も何もしてきたことがない。妖鬼を倒す、などということは夢のまた夢である。雪雲閣での門下生たちの様子や儀仙堂の活気ある人々を見た常は、自分が何もできないことに落胆してしまっているのだ。
「もうすぐ会合が始まる。静かにしておけ」
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