第81話 一つの案
紫色の炎による陣が出現してから、
「……空に浮かんでいる陣。お兄さんが言うには、紫色の炎で操った人を贄として雷を生み出す陣だ。お兄さんは贄にした人たちを殺すのが目的のようだけど、もしも陣が完成して雷がたくさん落ちてきたら、天弥道は燃えて人が沢山死んでしまうかもしれない。……止めるにはどうすればいいんだろう?」
考えこみすぎて、
「うっ……!?」
「……君は、もしかして」
「大会ぶりだな、
紙馬に乗っていたのは
「……大会では、剣を向けてしまって、すまなかった」
常は
「……仕方ないことだよ。でも、家訓で”暁片を持つ人を殺せ”っていうのがあるんでしょ? 前に
常に向かって寄ってくる妖鬼を斬り倒しながら、
「いや、家訓には続きがあった。”暁片は持つものではない、宿すものだ。暁片を持つ者が現れたら偽物だ、殺せ”と。お前は暁片を持っていると一度も言わなかったのに、俺が早まった結果、剣を向けてしまった」
常は暁片が季により体の中から取り出されそうになったのを思い出した。
「宿す……。そうだね、暁片は僕の身体の中にある。取られそうになったとき、とても痛かった。だから、君の言うような偽物ではないと思うよ」
「そうか。……お前を殺すことになると思ったとき、俺はとても悩んだ。初めて、友になりたいと望んだのに、お前を殺す天命であるのが怖かった。そのくせ、家訓に背くほどの勇気もなかったのだ。叔父は家訓を守らなくても良いと言ったが、そのとき、俺はどっちつかずな自分の心の弱さに気づいた」
「だが弱いと分かったからこそ、家訓に背く自分を納得させるために、理由を調べようと思えた。……そして調べた結果、お前と友であっても、家訓に背くわけではないと分かった」
「あれ、その腕どうしたの?」
風で翻った袖から見えた
「ああ、天弥道に向かう途中に荷車が停まっていて……怪しいと思った。だから荷車に乗っていた者を問いただしたら、少し攻撃されただけだ」
「……痛い?」
「これくらいの傷は問題ない。だが、その荷車がどうしても気になる。荷車に積まれていたのは、香炉だった。大会で人と人を分断したという香炉、そして儀仙堂で売られていたという煙の出る香炉……」
家訓に関して
「じゃあ、今までの香炉に関係しているとしたら、天弥道ですでに香炉が使われている可能性がある、もしくはこれから香炉が使われるかもしれないということ?」
「そうだな。先程、香炉に関して報告する紙鳥を数羽飛ばした。天弥道の政主、それと儀仙堂の者に届くようにした。それで、お前はどうするつもりなんだ? 一人でいれば妖鬼に殺されるぞ。俺が妖鬼を斬ってやらんこともないが」
大方の妖鬼を討伐し終えた
「……僕は、お兄さんを止めなければならない。僕の力で止められるか分からないけれど、一つ案がある。君に手を貸してほしいんだ、
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