第93話 日常へ
数日後、
暦の上ではすでに初夏であるのに、雪雲閣にはちらちらと雪が降っている。その中を、
何せ目の前で消えてしまった
うろついていた
「
「感謝する、
静虎殿に入った冷がせっせと漆塗りの箱を開けた。持ってきたのは、いつにもまして豪華な食べ物であった。鹿肉と芋の
「今日は
前よりも各地での交易が盛んとなっているが、
「たまには休め、お前は働きづめだろう」
「では、天弥道にでも行ってお酒でも飲んできましょうかね」
「……天弥道で
「ですが、動いていないと落ち着かない性分なのです」
そう言っている間にも、冷は外から几を運んできて料理を並べ始めた。手際よく準備されていくのを秋がぼんやりと見つめているうちに終わってしまった。この四年のうちに冷は更に素早く仕事をこなすようになってしまい、雪雲閣で右に出る者はいない。
そんな他愛もない話をしていると、冷と秋は静虎殿に近づいてくる足音を聞いた。もしかして、と二人は顔を見合わせて入口へと向かう。
戸を開けるとすらりとした青年が立っていた。雪が降ってきて融けたのか、朝露のように濃い色の髪が小さくきらめいている。空青色の直裾袍に白雲母のような色の外套を着ている。
背が一寸ほど伸び、少し声の低くなった
「ただいま、秋師兄、冷師兄」
雪花に舞う暁の破片 狩野緒 塩 @KanooSio
サポーター
- 牧野 麻也元・ブラック社畜のITエンジニア。 現在はホワイトIT社畜。 小説の好みはファンタジーとミステリー。ショートショートやオムニバスも好きです。 でも読む時は基本、あまり好き嫌いをしないで読むようにしています。 現在は書く方が多いですが、読む方もやってます。 オススメは 『31cmの贈り物』 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887683910 30分程度で読めます。 名刺がわりにどうぞよろしくお願いします。 現在執筆中 『悪役令嬢の継母に転生したので娘を幸せにします、絶対に。王子? 騎士? 宰相? そんな権力だけの上っペラな男たちに娘は渡せません。』 https://kakuyomu.jp/works/16816452218472266922 『底辺ITエンジニアの底辺人生のアレとコレとソレ』 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889599589 実は自サイトがあります。 悪役令嬢継母作品のキャライメージがこっそりあがっていたりします。 https://inovelt.net/
- @soaz
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