主人公である左近衛府中将・藤原征之は、幼い頃から物怪が見える体質。そのために鬼神・紅蓮に取り憑かれ、千匹の妖を退治しないといけないことに。
そして職務と鬼憑きのおかげで、内裏で起こる怪異の解決を帝に命ぜられます。
雅なだけではない宮中の人々の権力闘争や、中宮・女御とその裏にいる公卿たちの思惑などが、平安時代を知り尽くした作者さまによって源氏物語絵巻のように描かれています。
光の君とは違って、現代のゆとり世代のような出世に興味のない征之はドロドロした宮中をどこか斜めに眺めています。めんどくさいことが嫌いで、無理やり事件に巻き込まれてブツクサ言うのも面白い。鬼神でありながら愛敬のある紅蓮とのバディがまた惹きつけられます。
でてくる妖も今昔物語を読むようで、平安ものが好きな読者さまはつい引き込まれてしまうでしょう。
これぞ光る君へに続くエンターテイメント!
平安王朝に生きる人々が、素晴らしい筆力で書かれています。
面白いですよ〜!