第52話 暴君、帝寿
「
ため息をついた後、
「
「
秋の言葉に、書簡の話になってから欠伸をしながらふらふらしていた麻が大きな目を開けた。
「そいつ、暴虐の限りを尽くしたっていう王かい? 酒ばかり飲んでいると
「僕が読んだ書簡にも、臣下によって王が殺されたって書いてあったよ。王を殺した人はどうなるの?」
麻の発言に苦い顔をしつつ、秋は常の問いかけに答えた。
「今の時代なら、王を殺した者は死罪になる。だが、
「じゃあ、
「それは、この先を読んでみないと分からない」
秋が手に持っている書簡を見つめた。
書棚の行き止まりで立ち止まった三人は、仕事をしている最中の書部の邪魔にならないように、先程まで書簡を読んでいた場所まで戻る。
その戻る途中で、ちらちらと秋の様子を窺っていた常は、意を決して秋に話しかけた。
「ねえ、師兄。僕に剣を教えてくれない?」
静かに歩いていた秋が振り返る。
「
淡々とした口調で秋が断る。だが、常も負けじと秋の袖を掴む。
「僕は師兄に教えてもらいたいんだ」
「私は師父になるような技量を持ち合わせていない、
「冷師兄は忙しいもん」
「私も忙しい」
二人の様子を見ていた麻が腹を抱えて笑いだした。
「
そこまで言ってから、急に悪そうな表情をして、声を低くする麻。
「そんなに嫌なら、私が
「私が教える」
秋がきっぱりと言い放った。秋は麻に対しては負けず嫌いになってしまうらしい。麻が常の肩に腕を置いて、耳打ちした。
「これで
「うん、ありがとう青龍さん!」
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