第171話創造主は基本なんでも出来ます


湊視点

「緊急事態発生だ。創造主がお遊びに来られた」


 開始一分もしないうちに周平が変な事を言った。


「マジかあ~あこの回は終わりだな」


 そして友人君がゲームを投げ出す。


「え?え?え?」


 眞子ちゃんは二人を見て混乱した。

 もう少し頑張りましょう眞子ちゃん。この二人が一緒になって遊びだすと周囲を置いていくからね。

 私達はそれを理解して受け止めないといけないのです。大丈夫数年もすれば異常行動に慣れるから。


「はい周平、ちゃんと説明しないと眞子ちゃんが困っているから」

「へい」


 周平の画面に純ちゃんが開始と同時に現れたらしい。

 休戦して三人で見てみると確かに着物姿の純ちゃんがいた。

 周平キャラ折れ鍬赤フンの周囲をちょろちょろ動き回っており、時々ウインドウが表示されて、あっち行こや、その棒ちょうだいとかやりたい放題の言葉が並んでいる。


「やばい、マジでなにも出来ねぇ」


 折れ鍬赤フンが持っている折れ鍬を引っ張っている純ちゃんを攻撃することも出来なくて周平は困っていた。


「純ちゃんはどこでも純ちゃんですよね」

「眞子ちゃん、最近現実逃避が上手くなったよね」


 ほわほわと純ちゃんのキャラ、癒しの座敷童を見つめる眞子ちゃん。


「前も周平がしている時に現れたけどこんなにテキスト表示されていたっけ?」

「いやネット対戦の時は友人とはスマホで連絡していたが、純様や暴君達は何も表示されなかった」

「専用のマイクを着けない限り会話は出来ないはずだぞ。高いしスマホで済むから俺は付けてないが姉貴のゲーム機には付いているな」

「あ、私それ見たことあります」

「ん~テキストの文字が早いし、純ちゃんの喋りそうな言葉だから音声を文字に起こしているのかな?そういうアプリは今はありそうだし」

「「「はっはっはっ・・・あり得るっ!」」」


 私の言葉にみんな同意してくれたよ。

 メイドや具視達が登場しているだけと思っていたらちゃんとしたバージョンアップもされていた雨乞い2.14です。

 変な機能盛り沢山で私の日照り神様専用コマンドは周平にさせたことがあるけど前進したままコントロール不能に、65535のステータスでマップの端まで襲い来るヒャッハーや赤フン白フン黒フンをなぎ倒していったことがある。

 たぶんそれぞれしやすいように専用コマンドに弄れるくらい雨乞い2.14は自由度が高すぎるゲームだ。

 おそらく一生を掛けても全てを覗くことは不可能だと思う。


「なんで喋らないの?」


 コテン


「創造主が無茶振りをしてきたぞ」

「こっちは純正ゲーム機に雨乞い2.14を入れているだけで機材も無いから無理だって」

「もしかしてスマホでということでしょうか」

「あ、そろそろ無理、反応が無いから純様がイライラしている。すぐに報復の魔王様が現れる」


 時間制限が短すぎる。

 純ちゃんのテキストが流れなくなっていて、キャラがジーと赤フンを下から見始めた。

 

「あ、見たことあります。このあと叫んで報復の魔王様を呼ぶんですよね」

「姉貴だったらまだ周平だけを犠牲にして続けられるんだが」

「そのときは秋夜姉さんに連絡してお前を潰させるからな」

「はいはい、潰し合いはゲームの中でね」


 周平はコントローラーを置いて完全放置。

 勝ち目が一パーセントでもあればどうにかしようとする周平が諦めたのは勝てないからだ。

 最初にホネ子ちゃんが言ったように三大死には勝てないのである。

 日照り神様は単純に能力値が桁違いなので勝てず、他の二キャラもまず倒すことは不可能なのだ。

暴君閻魔、秋夜姉さんの固有キャラは常時回復バフ大が掛かっていて、もう片方の報復の魔王様は全てを反射するのでダメージが与えられない。

一度だけ周平にお願いされて本気で日照り神様を使って二キャラに挑んだけど三十分全力戦闘でマップの大半を更地にしただけという結果に終わった。

 一応自分の村を育成するゲームなので三キャラの村だけ存在する謎状態。


 でも純ちゃんのキャラ、癒しの座敷童が叫び呼ぶと村という弱点を持たない。つまり無制限でその能力を使いまくるのだ。日照り神様でも村があったら勝てない。


「おかしいですよ。魔王様が来ません」

「ああ確かに。この前は俺のどうぶつの〇王国をひとしきり楽しんだ後に魔王様を呼んで半壊させたのにな」

「俺なんてノイシュ〇ンシュタイン城の落成式に大木ミサイルをお前の姉に打ち込まれたんだぞ・・・」

「あれは悲しかったね」


 周平との共同作業で作ったものが十分ほどで木のハリネズミにされたのは悲しかったよ。まあ周平の育てているやつの見張り台だったけど。


「おかしいね動きがないよ?」


 私達が諦めて数分経つのに魔王様か暴君が召喚されない。


「いつもなら空間に切れ目が出来て報復の魔王様が現れるのにな」

「暴君閻魔は空間を割り砕いて登場ですよね」


 四人で首を傾げていると周平のスマホが鳴った。


「・・・げっ、秋夜姉さんからだ」

「「「うわぁ」」」


 嫌なタイミングでのトリックスターからの電話に全員の顔が引きつった。

 周平に着信拒否する勇気はない。弟は姉の奴隷と教え込まれている周平である。


「はい」

『おう、今雨乞い2.14をやっているだろう』


 スピーカーモードにしてからの通話で私達にも聞こえてきた。


「してないよ?」

『あ?』

「してます。がっつり四人で対戦中です」


 一文字で素直になった私の恋人。うん秋夜姉さんには勝てないよね。


『純が雨乞い2.14で周平に会ったのに無視されると言っててな。なんで返事してやらねえ』

「秋夜姉さん無理言ってるよ」

『湊か?喋れば相手に伝わるだろうが』


 何を言っているのかなこの暴君姉は。

 マイクが無い事、スマホで連絡をしようか迷っていたのを説明する。


『あーあー、そうかお前らには教えていなかったな。お前らの使っているゲーム機本体は夏の旅行のだろう?』

「うんそうだよ」

『ならいけるな。湊、ちょっと操作しろ』


 秋夜姉さんに言われたとおりにゲームのオプションを開いて操作する。

 雨乞い2.14のオプションは膨大過ぎて秋夜姉さんの指示が無ければわからないコマンドを選択していった。

 途中から言語でじゃなくてプログラムみたいのにテキストが変わっていた。

 周平と友人君があれなんて読むんだ?バカあれはあれだ唱えると魔法が使えるんだよ、マジか!?とお馬鹿なやり取りをしていた。

 眞子ちゃんちょっとうるさいから魔法使いになれない周平とまだ魔法使いになれる友人君を黙らせてくれないかな。


『最後は十字キー一回転でLR同時押しだ』

『ぱんぱかぱーん♪』


 言われた通りに押すと画面にホネ子ちゃんが現れて何かを祝ってくれた。


『通話機能が解放されたよ』

「「「「なぬ?」」」」

『よし上手くいったな』

『お金はかからないから安心してね♪全部報復の魔王様持ちだから』

「「「「リアルすぎる」」」」

『これでお前らの使っている本体があればいちいちスマホで掛けなくても通話出来るからな。雨乞い2.14で対戦中は常時通話中だからその時は盛るなよ』


 なぜ私と周平そういう気分になったのを知っているようなことを言うのかな?

 まって眞子ちゃん不審な目で見ないでっ!


『周平が持っている本体なガワだけ市販のモノで中身は完全雨乞い2.14専用にフルカスタムされているからなスピーカー、マイク・・・まあいろいろついているらしい。軽の新車ぐらい金がかかっているから絶対に売るんじゃねえぞ』

「おうふっ」


 言うだけ言って秋夜姉さんは暴君のまま通話を切った。


「雨乞いだけ改造されていたと思ったらハードまで改造済みだよ」

「これが車一台分・・・」

「やべえよ雨乞い2.14、帰ったら本体調べよう。俺のは普通のやつだよな」

「湊・・・初めて雨乞い2.14を止めたいと思った」

「うんうんゲームをしない時はコンセントも引き抜いて隣の部屋に置こうね」


 たぶん周平は雨乞い2.14の呪いからは逃れられないから。


『我参上(惨状)』


 中央画面にアップの癒しの座敷童が両手を頭上に掲げて表示されて純ちゃんの声がテレビのスピーカーから聞こえてきた。


『はいみなさん創造主様のご降臨です拍手してくださいっ』

「俺初めてだよゲームキャラに拍手要求されたの」

「私もですよ」


 キャーッと拍手するホネ子ちゃんに合わせて私達も現実世界で拍手した。


『ん、拍手は聞こえた。じゃあ雨乞いしよ?』


 どうやらちゃんと通話機能は稼働中みたい。

 はぁ~以前より混沌風味が増しているゲームだよね雨乞い2.14。



ーーーーーーーー

周平「雨乞い起動中はやめような」

湊「うん、私も聞かれるのは無理」

眞子「な、なにを話しているのかな?ドキドキ」

友人「眞子は聞くな」


はい遅れました~( ̄▽ ̄;)

ノープラン新作と雨乞い2.14同時は脳が沸騰しそうです。


雨乞い2.14の創造主純様が参戦です(;´∀`)

四人全員がバランスブレイカーだったのにさらに上のバランスブレイカーが・・・。

筆者はこれの続きを書くの?(;´д`)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る