第192話あけましておめでとうっ!と普通に言えない連中
湊視点
「周平さん周平さん」
「何ですか湊さん」
「お手てが寒いのです」
「それではわたくしのコートのポケットにお入れなさい。高級品過ぎてカイロを入れなくても温かくなっておりますよ」
「ほほう。それでは遠慮なく」
白い息がコンスタントに出る寒さの中、かじかむ手を擦っていた私は周平に助けを求めた。
すぐに自分の手を入れていたポケットを私の方に向けてくれる周平。
遠慮なく入れるとそこは春の暖かな日を思わせるような温さ。
「さすが高級品は違うね」
「俺、冬の間はこのコート手放せないわ」
周平と私が高性能を満喫しているコートは元々は秋夜姉さんの彼氏さんのものだ。
クリスマスにやらかそうとしていた彼氏さんは罰として自分様に作成しいたコートをプレゼントすることになったのだ。
私も高級下着数着を頂いたので二人揃って大満足。
あと眞子ちゃんには最新の高性能PCと何故かコスプレセット(私が欲しかった)、友人君には雨乞い2.14入り本体だったらしい。
「まさか高級すぎて秋夜姉さんが親に説明をしに来るとは思わなかったが」
「子供にうん十万円するものをポンとやられても困るよね」
純ちゃん全肯定彼氏さんは今まで何度もやらかしてきたらしい。
秋夜姉さんが言うには私達は知らない方がいいということ。閑名家の事を知っている私と周平が聞かないほうがいいとは…。
秋夜姉さんがきちんとした格好でウチに来たときは雨が降るんじゃないか?と二人でコソコソ話して秋夜姉さんからしたら軽めのをデコピンを頂き。
ママ達に俺様ではない普通の口調で謝罪した秋夜姉さんに偽物だっ!と叫んだ周平はアイアンクローを受けてビクンビクンした。
その後は普段の秋夜姉さんに戻ってママ達と宴会してたけど。
両親達からは秋夜姉さんは私達の姉と認識されている。
ああ見えて暴君は大人に信用されているのだ。酷い目にあうのは悪人と悪戯する周平と友人君だけだからね。
「しかし遅いな」
「しかたないよ。今日は元旦、初詣で人が多いから」
私達二人は今から詣でに行く神社に近い場所で待機中だ。
「クリスマスから発展したかな二人」
「無理無理、友人のヘタレとクソ真面目さは閑名家でも断トツだぞ」
「それ小学生時代の頃からの友達ぐらいしか知らないよね。数年付き合ってようやく本質が見えてくるような」
「いまだに眞子さんと付き合えているのは嘘じゃないのか?と首を傾げているぞ俺は」
眞子ちゃんと友人君を初詣に行くために待っている私達だけど、話は友人君の話に。
「成人したら分家の誰かを連れてきて結婚するわとか言い出しそうだったのに」
「う~ん、私は閑名家のお父さんや槍ジジイに聞いたけど、閑名の血が濃ゆいほど運命の相手を欲しがるそうだよ」
「なにそれ?長い付き合いだけどそんな呪われた中二病みたいな設定知らないぞ」
「周平には秘密にしといて言われてた。知ったら絶対にからかってくるからと、友人君がね」
「…からかうな。それはしかたないか」
からかうんだ…と、周平はたまに友人君には優しくしてあげてもいいと思うよ。
「秋夜姉さんなんか血が濃すぎて現代に相手がいないと思われてたら」
「閑名家を超えるおかしい人がいたのか」
「自分を倒した男に惚れるって秋夜姉さんらしいよね」
「あの姉を制御して…いるのかなぁ?余裕が出来てこっちに被害がきているような」
「その分破格の恩恵も受けているけどね」
「このコートは返すつもりはない」
ポケットの中でギュッと握るのは私の手だよ周平。
「まあいつも通りだろあの二人は、仏頂面の友人に横にいる危険小動物な感じ」
「可愛い眞子ちゃんに話しかけられて内心おたおたしている変人な感じ」
「…」
「…」
「中身は一緒だが言葉はもう少し取り繕うな」
「周平こそ眞子ちゃんを危険小動物だなんて酷くない?あと友人君が変人なのは認めるんだ」
「放置してると時代はスケボーだとか言って冬のスキー場に行こうとする奴は変人だろう。眞子さんはなぁ、無自覚すぎてハラハラドキドキ見守っているのを湊に咎められるから危険なんだよ」
「そこに邪な視線が入っていなかったら咎めないんだけどね。そこはどう?」
「…俺もおのこなので欲から解脱は無理」
まあ、あのワガママボディは目の猛毒だよね。
なるべく見ないように努力しているのは認めよう。罰は与えるけど。
「でもどうだろうな、昨日まで眞子さんは修羅になっていたんだろう?」
「うん、クリスマス以降既読は付くけど返事は無いのに少々不安を覚える親友の私です」
眞子ちゃんは夏の陣と冬の陣が毎年やって来る猛者の人だ。
家族総出の生粋のある領域の人達である。
にわかに興味ある私では下手に干渉すると大やけどをしそうなのであまり干渉しなかったら、時期がやって来ると私の方が完全放置にされてしまった。くすん。
「友人君の方は?」
「例のアレが開催される前日から連絡が取れねぇ。いや年末から年始は閑名家の行事で忙しいから元々取らないけど。今回は眞子さんに付き合うと言ってたから連絡はしたんだが…」
そう言って周平は取りだしたスマホの画面を私に見せる。
そこには『助けてくれ、ここは腐ってやがる。』と返事が来た以降既読も付いていないのが画面に表示されていた。
「フリだと思うか?あいつならここで心配して恰好つけた言葉を返すと親友マウントを取ってきそうで当たり障りのないことしか書いていない」
「たまに周平と友人君は本当に親友なのかなと思う時があるよね」
普通に心配しないのが信頼している証拠かもしれない。たぶん。
「よし湊も俺も普段通りの二人と予想した。ツッコミどころがあったら無視して年始の挨拶をしよう」
「のってあげるけど、眞子ちゃん基準で無視解除だよ?」
「友人基準なんて人には出来ないって」
一応友人君も人類の枠内なんだけどなと三秒ほど考えて諦める。
「あ、湊ちゃぁーん!」
神社に向かう人の群れを眺めていると、久しぶりに聞く親友の声が聞こえてきた。
歩道の先、人混みの中に眞子ちゃんと友人君のすが…。
「「何があったっ!」」
周平と一緒に無視作戦を忘れるくらい二人の姿に驚いてしまう。
眞子ちゃんは艶々お肌で喜色満面、笑顔でこちらに手を振っている。
問題はその隣の友人君。
肩を限界まで落とし体格のいい体を丸め、髪艶はパサパサで青白い顔で栄養ドリンクをチューチューとストローで吸っていた。
「これはヤ…ったのか?」
隣の周平が驚愕のこもった声を発する。
わかる。わかるよ。
だって体育祭の後の私達と同じ状況だからーっ!
ーーーーーーーーー
湊「普段通りだけど、ギリギリまでいちゃついてました」
周平「だってなぁ」
すでに年の三分の一を経て正月ネタを書いている筆者…(--;)
今はバタバタしていてちょっと飛ばし気味ですが、次の冬休みはちゃんと書きます(^^;
う~ん、ショタと覇王様の影響がありすぎだ。バカップルが週一でしか書けない(;・∀・)
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