釣り合う二人はバカップル
@daikin1192
第1話プロローグというかエンディング
プロローグというかエンディング
昼休みの食後のまったりとした時間、友人とだらだらと話していた。
午後の授業も近くある程度のクラスメイトが教室に戻っていて同じように喋っているか授業準備をしていた。
「キャーッ!」
廊下側から女子の歓声が聞こえる。
そちらを見ると他のクラスが体育で移動しているようだ。
「おー生徒会長はいつも通り囲まれているな」
友人が見るのは一団の中にひと際目立つグループだ。
女生徒が頭一つ分身長が高い女生徒を囲みながら移動している。
「どうして同性にあそこまで執着出来るんかな」
「そりゃあ見て触れるアイドルが近くにいたら執着もするだろう」
俺の疑問に友人が答えてくれる。
背が高い女生徒は穂高湊、身長175cmの細身。綺麗な黒髪をショートに細身で切れ長の目少し女性にしては低めの声。生徒会長で成績優秀スポーツ万能、親はテレビでCMが全国放送されるぐらいは大きい会社の経営者。確かにモテるのかもしれない。
やがて女子の集団は教室の前を通りすぎていく。
その時彼女は俺たちの視線に気づいたかのようにこちらに振り向いた。そしてニコリと爽やかに笑みを浮かべ軽く手を振ってそのまま去っていった。
「・・・」
「・・・」
クラスメイトの大半がこちらを向く。大半が呆れ、少数が羨ましさ、そして数名が嫉妬の目だ。
「お前愛されてるな」
「・・・」
友人の言葉に返すことが出来なかった。
俺、時東周平。身長169cm。平凡な家庭に生まれ平凡に育ってきた俺は穂高湊と交際している、大多数の生徒のに嫉妬されている男だ。
「時東周平、お前は湊と釣り合っていない」
放課後、帰宅の準備をしていると教室に長身の男子生徒を先頭に女子の集団が入ってきた。
そしてそのまま俺の前まで来ると男子生徒が最初に放った言葉がさっきのだ。
「えーと誰?」
そう言うしかなかった。
悪いが人の顔を覚える苦手だ。名前は更に覚えないが記憶の中に男とその後ろにいる女子達は記憶になかった。
「僕は生徒会副会長の先崎だ。彼女達は僕を支持してくれている子達だ」
「はぁ」
「なんだその気の抜けた返事は」
舌打ちされる。
なぜ俺は初めて会った人物に不快にされるのだろうか。俺と机を囲むようにいるので逃げ道がない。仕方ないのでカバンを置いて一度席につく。カチリ
「えーとその副会長がどのようなご用件で?」
「副会長がさっき言ったのにもう忘れたの!なんでこんな愚図が穂高先輩と付き合ってるのよ。絶対にありえない!」
副会長に尋ねたのに隣にいた女子生徒が罵声を浴びせてくる。それがきっかけになったのか他の女子も悪口雑言を罵り始めた。
しばらくしてから副会長が彼女達を抑える。
「彼女達は湊を慕っている子達だ。このままではいけないと彼女達が僕の背を押してくれたのさ」
「そうよ。あんたみたいな冴えない男が穂高先輩と付き合っているなんて信じられない。どうせ弱みでも握って無理矢理に付き合わせているのよ」
「僕が何度も別れろと言っているのに湊は困った顔をするだけで何も言ってくれなかった。お前が湊を脅しているとしか思えない」
副会長と女子達に睨まれる。
頭が痛くなってきた。
「・・・いろいろと言いたいことはありますがなんで赤の他人であるあんた達にそんなことを言われなきゃならんわけ?」
そう言うと女子達の罵声が更に増える。泣き出す子までいた。
「私達は穂高先輩に幸せになってほしいの。そのためにはあんたみたいな平凡な奴じゃなくて先崎副会長みたいに優秀で家柄も凄い人と付き合うのが一番いいじゃない」
さっきから副会長の横にいる女子生徒がうるさい。
「そうさお前みたいな無能な奴が湊に釣り合うことはない。弱みといっても湊の優しさに付け込んでいるだけだろう。さっさと湊を解き放て!」
一緒に女子生徒達も解き放てと言い始める。
やばい、現実に解き放てなんて言うバカがいるとは思わなかった。無表情にするだけでいっぱいいっぱいです。
解き放て!ぷふっアニメの世界の言葉じゃなかったんだな。教室にいるクラスメイトの数名が笑ってしまうのを我慢している。しばらくは解き放て!が流行るだろう。
心の中の笑いが収まるのを待つ。このまま喋ると爆笑しそうで困ってしまう。
「オーケイわかった。あんた達のなかでは俺は湊と・・・」
「穂高先輩を呼び捨てにするな!」
うぜぇ・・・。
「生徒会長と付き合っている俺は馬鹿だから別れろと。優秀な人は優秀な人と一緒になるべきで、生徒会長は副会長と付き合うのがいいということだな」
「なんだそのくらいはわかるのか」
「馬鹿なりにですね」
少なくともお前よりは常識はあるよ。あと湊を先輩呼びするなら下級生だよな。さっきからタメ口だからな。
「ああよくわかったよ。それなら俺の他に言う人がいるよな」
「ふんっ、湊には後で僕から言っておくきっと喜んでくれるさ」
自分の行動は全て正しいとしか信じていない副会長。周囲の女子生徒もそれに同調している。
「いやいやあんた達の後ろにいるんだから今言えよ」
そう言って彼らの後ろを指差す。
そこにいたのは無表情の我が彼女である湊であった。
ヤバい本気で怒っている時の顔だ。教室の気温が二、三度は下がっているように感じる。だって野次馬でいたクラスメイトが腕を擦っているもの。
あ、友人が手をこちらに振っている。来るの早いなとおもったが友人が呼びに行ってくれたらしい。あとでジュースを奢ってやろう。
「来たのか湊。もう大丈夫だ僕がキッチリと話をつけたから」
そんな湊に気付かないのか副会長は近寄り肩に手をかけた。
「これでお似合いのカップル誕生ですね!おめでとうこざいます先輩」
タメ口後輩が満面の笑みで声を掛け、周囲の子達もおめでとうございますと言い始めた。
本当正義に酔ってる奴は強いな。
でもそれが相手に届くかは別なんだよ。
パンッ
乾いた音が響く。
湊が肩に掛けられていた副会長の手を叩くようにして外した音だ。副会長が痛みで弾かれた手を押さえている。
「女性の身体に許可なく触れないでくれる。それに副会長、あなたには名前を呼び捨てしないでと何度も言ったよね」
冷たい声なのに怒りに満ちている。
「そ、それは湊が」
「呼ぶなと言った」
完全に場の雰囲気が湊の独壇場に変わった。副会長は戸惑い、女子生徒達は怯えている。普段は優しい表情しかしない人が怒ればそりゃ怖いよな。でもそれは自業自得だ。
「・・・みんなの前で呼ばれるのが恥ずかしいだけだと思っていた。だから呼び続けることで慣れていくと考えて」
「呼ばれるたびに拒否したよね。ああ言いすぎると生徒会の運営に支障が出ると思って穏便に言っていたのが悪かったのかな?ごめんね。はっきり言って貴方に名前を呼ばれるたびに鳥肌が立つほど気持ち悪かったの。二度と呼び捨てで呼ばないでくれる?これだけ言われたらわかるよね」
「・・・」
好意が全くない言葉はよほどの鈍感でもない限り心に刺さる。鈍感な副会長は打ち揚げられた魚のようにパクパクと口を開く。
うるさいのが一時的に沈黙したのを確認した湊はこちらを見た。
「来るの遅かったかな周平?」
「ちょうどいいタイミングじゃない」
湊は彼らが向けられたことのない笑顔でこちらに来る。座っている俺の後ろに行き抱きしめるように腕を回してきた。
嫉妬の視線が俺に集まる集まる。
「さて一応言っておこうか。私、穂高湊と時東周平は付き合っているよ」
本人から改めて言われてショックを受けている彼ら・・・ああ人様のプライバシーを壊そうとする輩はこいつらで良いや。
「・・・納得いきません」
タメ口後輩が俺を指差す。
「こんな何の取り柄もない男は穂高先輩には似合いません!」
酷いな、そこは本人も気にしているんだぞ。
「なるほどそれで?」
湊は促す。
「私たちはずっと先輩のことを見てきました。綺麗で成績優秀スポーツ万能なのにそれを自慢もせずにみんなに優しくって、そんな先輩に私たちは憧れています」
「それで?」
「なのにその男はどこも優れたところがない。成績もスポーツも大したことは無くて、しかも先輩に釣り合うような努力もしない」
「で?」
「私たちはその男を穂高先輩の恋人とは認めません!」
他の女子生徒達もそうです!と騒ぎ出すが。
「で?」
湊の一言ではなく一文字の疑問の言葉で黙った。
俺からは見えないが湊は笑みを浮かべているだろう。感情の入っていない笑みを。
「言いたいことは全部言った?ところで聞きたいんだけど・・・」
その笑みは彼女達にとって悪魔の笑みだった。
「君達はいったい誰なのかな?」
悪魔は絶望を突き付けた。
「いや顔はわかるよ。記憶力は良い方だからさ、ここ最近私の周辺に付きまとっていた子達だよね。誰も名前を教えようとする子はいなかったんだよ。興味もないから聞く気にもならなかったし」
付きまとい、興味も無いと言われ彼女達は顔色が悪くなっていく。
「でさ名前も知らない他人に大事な彼氏と別れろと言われた私の心情はわかるかな」
怖い怖い、その彼氏が寒気を覚えるほどの冷たい声音なんですが。視界の端に見える友人なんて関係ないのに失神しそうよ。
だから直接それを受けている女子生徒達は悲惨だった。弁明しようとしてるのだろうが、あ・・・、その・・・ぐらいしか声が出ていない。
「両親が心配するなら考える、彼の両親が反対なら努力して駄目なら一緒に逃げる。友達が否定するなら彼に合わせそれでも駄目なら友達と縁を切る。そして周平が嫌うなら・・・どうしよう。一緒に死ぬ?」
「え、殺されるの俺?」
「だって生きていけないから、私」
冗談交じりに言っているようにみえるが多分マジだろうな。
彼女達は間違っていたのだ。俺と湊はお互いが大切な人ではあるが湊のほうがより執着している。
「だからさ、名前も知らない赤の他人である君達の言うことなんて聞く必要がある?憧れているから認めない?どうぞご勝手に思ってください。私はアイドルじゃないんで恋愛は自由にできるから」
そう俺たちはただの学生だ。いくら優秀でも湊はアイドルではないし、俺は非難されるような悪事はしたことはない普通の学生である。なのに当然かのように上から目線で干渉してきた。憧れていた他人がそんなことしたらどうなるか。
「でもあなた達は干渉してこようとするんだよね。なら私もあなた達に干渉していいよね。私の恋路にあなた達は必要ない。今後二度と近寄らないで、もしなにかしたらストーカーとして訴える」
俺たちに関係の無かった彼女達の末路は憧れていた存在からの拒絶だった。
悲鳴を上げる者、シクシクと鳴く者、逃げ出そうとする者には湊が顔は覚えたと言ったらそのまま泣き崩れた。
「そこの貴女、率先して周平に酷いこと言っていたよね。私の事を先輩って言ってたから後輩なんだろうけどさ、知り合いでもない上級生に対して敬語を使わないし下に見た発言、普通に考えて最低な行動だよ。先生に注意してもらうように言っておくね」
容赦ない湊の言葉にタメ口後輩は泣きながらうずくまり、ごめんなさいごめんなさいと呟く存在になり果てた。
「い、いくらなんでも言い過ぎだ湊!」
案山子と化していた副会長が声を上げる。
「彼女達は湊の事を思って行動してくれたのにそんな酷いことを良く言えるな!」
声を出したことで勢いがついた副会長。
「いやいや思って行動しても相手が迷惑なら意味ないだろ。あと人の彼女を呼び捨てにするなよ。本人からも拒否られてるのに呼ぶなんて失礼にも程があるぞ」
ただしその勢いは俺が潰す。
最初は名前呼びを湊が許可したのかとあえて否定しなかったが(不快ではあった)拒否しているなら別だ。
「・・・お前が湊と付き合っているなんて僕は認めない」
まだ言うかこの馬鹿は。もういい地獄を見せてやる。
「さっき別に認められる必要はないご勝手にって湊が言ったよな。聞いてなかったのか副会長さん」
「優秀な者は優秀な者と結ばれるべきなんだっ!お前みたいな無能が釣り合う訳がないだろう!」
顔を真っ赤にして叫ぶ副会長。
「じゃああんたは湊と付き合うためには何が必要だと思うんだ」
「僕は頭も良く運動神経も良い、容姿も整っている。そして父が県議員で資産家の跡取りだ。社長令嬢の湊と釣り合うのは僕しかいない!」
自信満々にのたまう副会長に俺は笑ってしまう。
「なにを笑っている!」
「いやいや面白いことを言ってると思ってな」
いや本当に笑うしかないのだ。そんなことを言っている時点で間違っているのだ。
「湊」
「なに?」
「頭は良い方がいいか?」
「普通でいいんじゃない」
「運動神経は?」
「一緒に遊べるくらいあれば」
「容姿は?」
「周平一択」
おっとこれは照れるな。
「親は普通の会社員と主婦だけど」
「二人とも良い人だから不満なんてないよ」
「俺は湊に釣り合っているか?」
湊は俺を抱きしめてきた。
「もちろん周平しか私に釣り合う人はいないよ」
耳元で甘く囁くように言われた。うん、わかってはいたが嬉しいものだ。
さてとどめを刺そうか。
「あんたが言う釣り合う釣り合わないは他人や自分が決めるんじゃなく、釣り合いたい相手が決めてくれるんだ。優秀や地位は選ぶ要素の一つであって、あるから釣り合うわけじゃない」
俺の言葉に理解していない顔の副会長。本当に優秀なんだろうか。
「あんた一度も湊の事を好きだと言ってないよな。ずっと俺に対してマウントを取ろうしてばかりだ」
こいつは俺の前に来てから自分は優秀だから湊を譲れとしか言っていないのだ。
「優秀な者同士で付き合う、良いことじゃないか。未来のお国の為にもっと優秀な子孫を作ってくれよ。でもそれは同じ価値観で同士でやってくれ。湊の価値観の中ではあんたの優秀さも権力も金もゼロ以下なんだよ」
ちらりとすぐ横にある湊の顔を見る。
どんどん密着度が増えてませんかね湊さん。
湊は俺の言葉に肯定するように頬ずりしながら頷いた。
状況を見守っていたクラスメイト達の視線が痛い。
湊の態度でようやく理解してくれたのか副会長の顔が青ざめていく。
イケメンが絶望するのを見るのは楽しいな。ほらクラスの男子もざまぁと嬉しそうな顔をしている。
「そういえば副会長から好きって言われたことないかも」
「なぬ?」
「ずっとお互い優秀で家も裕福だから付き合おうばかりで・・・うん、好きと言われたことは無いよ」
おう、凄いな副会長。
「それは告白・・・なのか?」
「私は上から目線で何言ってくるんだこの馬鹿と思って聞き流してた。あれが告白だったら漫画に出てくる俺様野郎をマネしたのかな。素だったら凄いよ、それで付き合うのはお金と権力が目的の強欲女か権力に屈服した奴隷かの二択だよね」
あんなことがあったねみたいに笑いながら話す湊。
クラスメイトどころか元?湊のファンの子達もドン引きのエピソードだ。俺?湊が敵と認定した奴には容赦がないことをしっているからそこまででもない。
副会長は膝から崩れ落ちた。完全にノックアウトだ。
現状、俺の目の前は凄い惨状だ。頭を抱えてうずくまる女子生徒、シクシク泣いてる女子生徒、ブツブツと心あらずで呟いている女子生徒、orzの状態で動かない副会長。
どうするかなと考えていたら先生が数人やって来た。先生の後方で友人が親指を立てている。たぶん呼んできてくれたみたいだが、便利すぎるぞ友人よ。本当の優秀な人は友人なのかもしれない。
その後は先生達に事情聴取された。
副会長と女子生徒達がこちらを悪者扱いしようとしたので録音機で記録していた全てを公開してやった。最初の方にカチリとスイッチを入れてましたよ。
俺が湊と交際しているのは全校生徒の殆どがしっているので今回ほどではないがちょっかいを出してくる輩がいるので何かやられたときに証拠提出の為に所持していいるのだ。ちゃんと学校に許可は貰っている。
公開されると再び阿鼻叫喚の地獄になった。
俺と湊は被害者とわかり解放された。担任からはやり過ぎと注意されたが二人とも限度を超えたら倍以上にやり返す主義なので反省はしていない。
二人並んで夕日の中を歩く。
「今夜のご飯はなんにする?」
「疲れたからお肉がいいかな。でも鰈の煮つけも食べたいな」
「ならスーパーに行ったときに安い方を選ぼう」
「そだねー」
湊が生徒会長になってからはあまり一緒に帰ることがなかったので新鮮に感じる。
「久しぶりに一緒に帰れるね」
湊も同じ意見だったようだ。
「ん~よし、これでオッケーだ」
操作していたスマホをしまう。
「何してたの?」
「おじさんにさっきの録音したのを送った」
「ああーそれは怒っているだろうね」
「返信が友人のデフォルメ化したのが親指を立ててるスタンプだった」
「なんで?」
副会長に逆恨みされるのは面倒だから金と権力を持っている湊のパパに出張ってもらう。家族愛に溢れるおじさんならどうにかしてくれるだろう。
しかし友人よ俺の生活の隅にちょくちょく出てくるな。
その後
晴れて湊は生徒会長を辞任した。
理由は個人的に問題がある人物とは仕事が出来ないだ。
もちろん問題がある人物は副会長だ。
あの後に速攻父親に泣きついたらしい。だがすでに湊のパパが根回し済みで副会長の父親に激怒されたようだ。
そりゃそうだ。そろそろ世界にも進出しようかなと躍進している大企業の社長からお宅の息子さんが娘にちょっかい出してるみたいだけど教育どうなってるのと懇切丁寧な電話が来たら県規模でイキッてる資産家では太刀打ちできないだろう。決め手は周囲の県にだけ資金を注ぎ込んで、あなたがいるせいでこの県には関与しないと噂をばらまくぞ☆だ。
金と権力の暴力って怖いと実感したね。
そのおかげで副会長は後継者から候補に下げられたらしい。それなりに実績を上げなければ放逐になるらしく副会長の役職にしがみついていた。
さすがに湊も一緒に業務をこなすは無理なようであっさりと生徒会長を辞職した。もともと周囲の強い推薦で就いたようなもので任期もあと少しだったということもあり、生徒会が機能不全になるよりはと許可された。
ただ傲慢だった副会長がそんな変われるはずもなく、業務はガタガタのようだ。生徒会の湊派だった生徒は辞める相談を湊にしているらしい。
「まあ普通に慕ってくれてた子達だったからね。後始末ぐらいはするよ」
湊は苦笑して言っていたが多分副会長の息の根を止めるのだろう。
湊を応援していると言っていた女子生徒達はやらかしが全生徒に広まり針の筵の状態らしい。タメ口後輩にいたっては登校拒否してると噂が流れてきたがどうでもいいことだ。俺も湊も一学生でしかないので迷惑をかけてきた連中のその後の面倒を見るほど人格者でないのだ。立ち直ることを祈るぐらいはしてやろう。
そして俺と湊だが。
生徒会を辞めた分だけ一緒にいる時間が増えたぐらいで今までとたいして変わりはない。
「ねえ周平」
「ん?」
「私は周平に釣り合ってる?」
「もちろん湊しか俺に釣り合う人はいないよ」
人物紹介
時東周平・・・いたって平凡な家庭で育った普通な人。料理はそこそこ上手い。やられたら倍返し以上が信条。
穂高湊 ・・・中性的な容姿に文武両道で生徒会長、親は会社を経営している。子供の頃は親の会社も小さく貧乏だった。親が夜遅くまで仕事をしていて一人だったのを周平が時東家に連れてくる。幼少期は殆ど時東家で暮らしていた。両親とは仲は良い。周平が好き。成人までは清いお付き合いでいてと両家の両親から懇願されている。
友人 ・・・名前が友人でともひとと読む。恋愛ゲームのお助けサブキャラ並みに活躍している。周平の予想では湊より凄い人物。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます