第31話 湊と眞子は本当の(油断するとイジられる)友達になった

サッと終わるはずの話が全然進まない(´・ω・`)




眞子視点


 改札口を通り抜けて駅前の広場に出る。

 いつも通学に使う駅だが今日は違って見えるのは私服だからだろうか。


 今日は湊ちゃんの家で勉強会をして、そのあとはお泊りすることになっている。

 勉強道具や着替え、やいろいろと準備したらキャリーケースで持ってくることになった。


「ふう、湊ちゃんはどこにいるのかな」


 湊ちゃんが駅まで迎えに来てくれている。

 今日は学生は休みなので遊びに行くのか駅前は人が多かった。パッと見ても湊ちゃんの姿は確認できない。


 ピコン


 連絡しようと思ったらスマホに湊ちゃんから連絡が入る。


『やあ、私湊ちゃん今家を出たところ』


 ・・・なにか文章がおかしいけど到着時間は教えていたから、なにか遅れる出来事があったのかな?


 ピコン


『やあ、私湊ちゃん丁度駅まで半分の距離の場所を通過したところ』


 ・・・ん?早くない?


 ピコン


『やあ、私湊ちゃん駅前の広場に着いたところ』


 慌てて駅前の広場を見渡す。

 忘れてた!

 湊ちゃんの彼氏はあの周平君でその親友は友人君だったのを。常識人だと思っていたけどあの非常識な人達と一緒にいる非常識人だった!


ピコン


「ハヒッ」


 変な声が出てしまう。

 恐る恐るスマホの画面をみた。


『やあ、私湊ちゃん今眞子ちゃんの後ろにいるよ』


 ゆっくり振り向く。


「やあ、眞子ちゃんびっくりしたかな?」


 そこにいたのは白のパンツスーツで決めた、満面の笑顔のイケメン湊ちゃんだった。


「もう、ひどいよ湊ちゃん!」

「あっはっはっ、ごめんごめん。周平達にどうすれば面白く出迎え出来るか相談したら、友人君が出した案が定番みたいで実行してみたんだよ」


 おのれー友人君め。

 今のが描き終わったら、触手まみれにしてあげるっ!


「ん、それよりこの格好どうかな」


 湊ちゃんが私の前で一回転して自分の服装を見せてくれた。あまりにも決まっている動きに周辺でこちらを見ていた女性たちが喜びの悲鳴を上げる。


「カッコいいです・・・」


 女の子とわかっているのに心がときめいてしまう。

 だってあまりにも服が湊ちゃんに似合い過ぎているのだ。中性的な顔立ちに細身の白のパンツスーツは犯罪だと思います。


「それはよかった。実は周平が選んでくれたんだよね。眞子ちゃんをエスコートするならこの格好だろうって」


 ありがとうございます周平君。興奮しすぎて鼻から何か出てきそうです。

 デジカメで撮影したいけど我慢!脳内フォルダにも限界があるよぉ・・・。


「途中にある公園でデジカメで撮影する?たぶん眞子ちゃんは持っているって周平が言ってたけど」

「お願いします!」


 周平君、あなたは神ですか。それとこちら側をよくお知りで、もしかしてこちら側の人なのかな。


 湊ちゃんの家に行く途中にあった公園で満足するまで撮影した。

 湊ちゃんもノリノリでポーズを取ってくれる。

 いったいどこでポーズの仕方を覚えたのだろうか。


 今は湊ちゃんの家に向かっている。


「はふぅ、もうお腹いっぱいです」


 壁ドンに顎クイ、頭ポンポンなどシチュエーションをしてもらった。

 湊ちゃんの凄い所は動き立ち振る舞いが全て男らしく振舞っていることだ。意識して周平君の動きをマネしているらしい。

 周平君はいつも壁ドンとか頭ポンポンとかしているのかな?


「食べてないのにお腹いっぱいだなんて眞子ちゃんは業が深いよね」

「ふふふ、湊ちゃんもこちら側に来ますか?楽しいですよ」

「いやいや、私は周平で満足しているから、そちらのほうは浅いお付き合いだけでお願いします」


 湊ちゃんのデザートは激甘だった。


「湊ちゃんは私の趣味を気持ち悪いと思わないの?」


 思い切って聞いてみる。

私の趣味は特定の人に支持されるが一般人には拒否される系だ。湊ちゃんと周平君にはつい勢いで作品への出演許可を取ったが、嫌ではなかったのだろうかと常に考えてしまう。


「別に?他人に迷惑を掛けるわけではないし、周平のことも描いてくれるなら最高じゃないか。あ、でも私の相手は周平しか駄目だよ、浮気になっちゃうから、周平の相手も女性はNGで」


 湊ちゃんは少しの拒絶もなくサラリと答えてくれた。

 

「譲りたくないものは他人に何を言われようと譲らなくていいんだよ。私だって周平のことで譲るつもりは少しも無いしね」


 湊ちゃんは自分の一番大切なものを私の趣味と同列に考えてくれているのだ。


「眞子ちゃんも人にどうこう言われても趣味を止めるつもりはないんでしょ?」


 そしてお前も私と同じたった一つの為に狂っているだろうと言われているような気がした。


「もちろん、将来は仕事にして食べていくつもりですから」


 私は断言した。


 湊ちゃんの顔が笑みに変わる。


「うん!眞子ちゃんと友達になれてよかったよ。これからもよろしくね」


 手を差し出してくる湊ちゃん。

 私はその手を取って握手した。


「こちらこそよろしく湊ちゃん」


 私達はなるべくして友達になったのかもしれない。


 私は人に頼まれたら断れない性格をしている。頼まれて頼まれていつの間にか毎年、委員長をしていた。

 委員長になるのは不満はない。でもありがとうの一つだけで押し付けてこられると心が少しずつきしんでいく。

 そして私の趣味を委員長なのに、良い人なのになんでそんな気持ち悪いことをしてるの、止めたほうがいいと、否定されてきた。


 湊ちゃんは受け入れてくれた。自分にも譲れないものがあると。

 私も受け入れよう。


「真面目な話をしてたら到着したね。ここが我が家の穂高宅です」


 いつの間にか着いていたらしい。


「どうかな私の家は」

「ええと、思っていたより普通?」


 湊ちゃんの家はお金持ちと聞いている。でも目の前に建つ家は普通の住宅より少しだけランクが上くらいに見えた。


「うんうん、眞子ちゃんのそういう正直なところは好印象だね。この家はパパの会社がまだそう大きくなかったときに建てたんだよ。いまなら豪邸を建てることも出来るだろうけど、家族三人だと今の家で十分なんだよね」


 サラリとお金持ち宣言する湊ちゃん。

 それが似合っているから嫌味に聞こえない。


「そしてお隣が周平の家の時東宅です。普通でしょ」


 うん普通。

 庭に立派な家庭菜園があるくらいで、いたって普通の住宅でした。


「私と周平を見てどんな家で育ったんだと期待する人が多いんだよ。友人君の家のほうが面白いのにね。道場あるし、おじいちゃんが槍で襲ってくるし」

「それを詳しく教えて湊ちゃん」


 すっごく気になるワードが出た。


「今日はダメー。さ、家に入るよ」


 そんな殺生な。お泊りのときに聞き出そう。


「お帰り湊。いらっしゃい眞子さん。結構なんでもある家だから期待していいよ」


 手ぬぐい頭巾に割烹着姿で鍋を持っている周平君が出迎えてくれた。


 これ絶対私をからかうためにしてますよねっ!?

 でもイケメン坊ちゃんとおさんどんさんで描かせてもらいます。



ーーーーーーー

周平&湊「「いえーい大成功」」

眞子「ぐぬぬ」

湊「裸エプロンも候補だったんだよね」

眞子「そちらもお願いします!」

周平「え?」


周平と湊だけ書くのもなと考えて書いてたら眞子ちゃんの悩み事を書いてました。

筆者は主人公とヒロインだけを書くと、じゃあ周りの人達はどう思ってるんだよと考えたりします。

イチャラブはしますけど、まだまだ高校一年生なので恋だけでなく友情、悩みなどの青春を書いていきたいです。

筆者は・・・羨ましくなんてないよっ!周平は憤死しろっ!ぐらいしか思ってないよ(T-T)黒歴史しかない筆者。


眞子ちゃんもいろいろ悩んでいた女の子です。友達はそれなりにいますが親友は多分湊一人だけになります。

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