第14話料理回かHな回は入ってくるよね前編
前後編で一話分の文字数です。
気になってくれるかな?
「ふう、缶詰と玉ねぎの一緒は重いな」
リビングに入ると持っていたエコバッグを降ろす。
HRが終わった後は帰るだけで、湊と合流しようとしたら湊のクラスはまだ終わっていなかった。
待つつもりだったのだが、HRが終わった後も生徒会に呼び出されているから先に帰ってて、と連絡が入った。
HRが終わらないのは鳩山関連だろう、生徒会は勧誘なのかな。良い意味でも悪い意味でも一躍有名になった湊を取り込みたいのかもしれない。
詳しくは帰ってきた時に俺の方の報告と一緒に話し合おうと思っている。
昼食は何を食べたいと送ったら、カレーと返ってきた。
レトルトカレーがあったが疲れてくる湊のために一から作る。
友人?寝てただけなのになんで説教されるの、とウソ泣きしながら帰っていった。しっかりジュース二本分のお金は徴収してだ。
休みたいがあいにくと時間があまりなかった。
もう一度エコバッグを持ちキッチンに入る。
俺専用のエプロンを着けて、まずは米を炊く準備だ。
今から作る料理の為に少し硬めに炊く。
次に使う調理器具を出していく、材料をいれるボウル、まな板、包丁、フライパン、最後は圧力鍋だ。無駄に重たいが時間短縮に役立つ。
最初は玉ねぎのみじん切りだ。どうせドロドロになるから、そこまで細かく刻まなくていい。
刻んだ玉ねぎをボウルごとラップで包んで電子レンジでチンする。そのままだと嵩が多くて圧力鍋に入らないからだ。チンすればしなっとなって嵩は減る。
チンしている間にひき肉をカレー粉と一緒に炒める。生のまま入れるより美味しくなると思うのは俺の考えだ。
炒め終えると同時に電子レンジが鳴った。
取り出した玉ねぎを圧力鍋に入れ、ひき肉も入れ、最後に買ってきたトマトのホール缶を二つ入れる。
作っているのは俺特製、無水トマトカレーだ。本来なら生のトマトを使うが、時期的に買えなかったのでホール缶で代用している。
圧力している間にサラダを作る。
男料理なのでおおざっぱだ。薄切りにしたキュウリに冷蔵庫に残っていたパプリカを千切りに、レタスは適当に千切って水にさらす。軽く水を切って全部を混ぜて、湊が帰って来るまでは冷蔵庫に入れておく。
圧力が抜けた鍋の中を見てみると、玉ねぎの水分が多かったのか予想より多い。塩コショウをして、少し弱火で煮詰める。こういう時にIHヒーターは時間設定が出来て便利だ。
「ただいまー」
湊が帰宅してきた。
少ししてリビングのドアが開く。
「おう、おかえり」
「ただいまでーす」
湊は返事をしながらソファーにダイブする。
その顔は疲労していた。
スカートが絶妙なところまで捲れていますよ湊さん。
「うわ~、お腹が鳴っちゃう匂いがする」
「まだルーは入れてないけどな」
ひき肉を炒めるときに入れたカレー粉の匂いだろう。
「どのくらい?」
「あと十五分ぐらいか」
ここで火力を強めるとすぐ焦げてしまうのだ。調理の短縮は好きだが、出来ないとこは諦める、それが料理が上手くなるコツの一つだ。
「じゃあさ」
キッチンから出てリビングにやって来た俺のほうに、湊は体勢を整えて向いた。
その目は艶めかしく弧を描いている。
「いいことしてほしいな」
なにを?
「お願い、して周平」
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