第72話満足な湊、甘えん坊の眞子、やはり原因は閑名家

雨乞い2.14はなんとか抜けたけど、まだ閑名家が抜けない・・・(´-ω-`)




 湊視点


 楽しかったゴールデンウイークが終わった。

 久しぶりの閑名家は以前と同じハードな世界に存在していた。いや少しハード度が増してたかな?

 秋夜姉さんのタガが眞子ちゃんに会ってから少し外れかけていたような。うん閑名家の常識人だけどやはり閑名家の人だから。

 閑名家を知っている人達には閑名家だからと言えばみんな納得してくれるんだよね。


 後半は周平とまったり過ごした。

 罰の抱きしめながらの映画鑑賞をしたり、二人で料理して食べたり、ちゃんと勉強もした。いくら周平といるのが楽しいからといって勉学をしないと穂高時東両親が容赦なく私達の交際に干渉してくるのだ。

 周平は仕方がないと言っているけど家の鍵を没収するのは酷くないかな。朝の周平の部屋に入るのに手間取っちゃうじゃないか。部屋はいいけど玄関はさすがに慣れてないから五分くらいはかかるんだよ。

 まあ真剣に勉強する周平を見るのもいいから我慢するけど。


 前半は親友、姉、姉の彼氏、槍ジジイと親睦深め。後半は周平とラブラブイチャイチャできた私はフル充電でゴールデンウイーク明けの学校に登校した。


 真面目な優等生として学校では通すつもりなので、学級委員長の業務で一人で先に登校するのはちょっと寂しい。成績を落とせば周平達と同じクラスになれたかもしれないけど、さすがにパパ達に怒られるし。


 クラスの皆は真面目な子たちばかりだからみんなちゃんと登校してきた。友人君ならサボるかもしれない休み明けなんだけどね。


 別にクラスメイトを自分の手下みたいにしているわけではない。俺がこのクラスをトップだ!みたいな男子とか参謀みたいなのがいて何もしてないのにトップの女子とかはいないよ。普通普通、みんな学年で成績上位だから馬鹿な事はしない。

 私はただの方針をまとめる役だね。意見の調整役といったところかな。支配までしたら周平と一緒にいられる時間が減るしね。

 ま、私のクラスの休み明けは無難に始まったのである。始まったはずなのである。



 お昼になって休み明けのちょっと豪勢になる周平弁当を楽しみに、程よい木陰がある芝生を今日は食べる場所としてチョイスしたんだけど。私は四時間目が遅くなって後からやって来た。


「ごめん、遅くなった・・・」

「湊ちゃんっ!」


 うわぁっ眞子ちゃんがいきなり抱きついてきたよ。

 え、何?がっちり胴を固定されて動くことも出来ない。


「すまん湊しばらくそのままで」

「湊ちゃんマジごめん。あとで飲み物奢るから」

「え?え?全然理解出来ないんだけど」


 周平が額に手を当て苦悩中で、友人君はこちらに手を合わせているよ。


「ああ、湊ちゃん。湊ちゃんの匂いだぁ」

「や、やめて眞子ちゃん。さすがの私も匂いを嗅がれるのはちょっと。て、撮らない周平っ!」


 あとでそのスマホの中身を消去だからね。

 しばらく立ったままでホールドされていた。

 いろんな人に見られている。眞子ちゃんに紹介しようと子達だ。私達を見て驚くのはわかるけど、どうして口じゃなくて鼻を抑えて親指立てて去っていくのかな?あとで検閲しないといけない。


「落ち着いた眞子ちゃん?」

「んーっ」


 ようやく座れたけど眞子ちゃんが腕に縋りついて離れてくれない。閑名宅でもでも無かったことだ。


「二人は眞子ちゃんがこの状態になったのを知っているんだよね?」


 ジロリと睨む。二人でも場合によっては許さないよ。


「いや俺達もわかっていない」

「眞子ちゃん朝からちょっとおかしかったかったんだけど何も教えてくれなくて」


 男二人がオロオロしている。友人君が人のことでうろたえているのは珍しい。

 朝の登校時から眞子ちゃんは煤けた状態でやって来たらしい。

 二人は心配するも大丈夫大丈夫と乾いた笑いで返事するだけ、クラスメイトの女子が聞いても同じ、それが昼まで続いて私がにやって来たことでようやく事態が動いたみたい。


「眞子ちゃん眞子ちゃん。何があった教えてくれるかな?」

「うーっ、家に帰ってから・・・」


 眞子ちゃんが話し終わる。


「姉貴がマジすいませんでした」


 友人君が眞子ちゃんに土下座した。


「本当ごめん。秋夜姉さんも閑名家だったことを忘れてたよ」


 周平も頭を下げた。


 眞子ちゃんが幼児返りして私に縋りついた理由は秋夜姉さんだった。

 眞子ちゃんを送るついでに友人君の行動を謝罪しにいった秋夜姉さん。


「正直言って恐怖だったよ。あの秋夜姉さんが女性口調で会話しているの」

「え、まじ?秋夜姉さん女になれるの?」


 お化けを見た口調の眞子ちゃんに驚く周平。周平ちょっと邪魔。秋夜姉さんは外ではちゃんと女性の口調に変えているよ。私も初めて見たときは驚いて笑顔のアイアンクロ―を味わったけど。


「そしていつの間にか私の親に気に入られちゃってゴールデンウイークの後半の夕食に毎回いるんです。秋夜姉さんが」

「姉貴の奴、晩飯はいらんと言ってたのはこれか・・・」


 まったくあの人は何をやっているんだか。たぶん眞子ちゃんを気に入ったんだろうけど、友人君と同じようにやり過ぎ。

 友人君は姉の行動でようやく自分の行動がどんなものわかったみたい。土下座の中には自分の行為の分も含まれているだろう。


「どうして連絡してくれなかったの?知ったら対処したのに」


 私の言葉に周平も頷く。実は周平は対閑名兄弟の面がある。特殊な人間以外で勝てるのは周平ぐらいなのだ。


「・・・湊ちゃんが周平君と二人で楽しんでいるだろうなと思って我慢したの」


 ああっこの子はなんて可愛いんだっ!自分より私達を優先してくれるなんて。

 友人君に連絡しなかったのは二人に増えられると流石に無理という判断らしい。友人君は眞子ちゃんの信頼度がちょっと減り過ぎだね。頑張ってこつこつ増やしていこう。


 さて、私達の姉だが今回はアウト。全く兄弟そろって同じことを繰り返すなんて。

 眞子ちゃんはいい匂いがすると言っていたけど本当なのかもしれないね。普段の秋夜姉さんなら絶対にしないもの。閑名家の血がさせたのかな?


「友人君、今回の秋夜姉さんへの罰は私がやっていい?ちょっと親友のメンタルを崩させたのには怒ってるから」

「こえー、湊ちゃんマジ怒ってる?」

「うん怒ってるよ。あと最初の原因の友人君は周平のマジ説教を受けてね。人だからしばらく経っても叱られるのわかるでしょ」

「おおう。マジだ・・・」


 顔が青褪める友人君。

 閑名兄弟が周平を苦手としている部分があるのだけどその一つががマジ説教。

 私達といつも馬鹿やっている周平だけど、成人まで清い交際をするみたいな変に頑固な約束を守る常識があるので説教をすると非常識の塊の閑名兄弟には大変効くのだ。よほどのことがないとしないけどね。今回は友人君だけなら周平が治めてくれたときで終わったんだけど、秋夜姉さんがつくとね。


「いいぞー。どのくらいがいい?」

「一時間、いや二時間だね」


 あ、友人君が白目になって死んだ。


「そんなに周平君の説教は怖いの?」


 眞子ちゃんが不思議そうに聞いてくる。

 そっかなんで周平があの友人君の親友でいられるか知らないもんね。

 友人君が唯一勝てないと思っているのが周平なのである。本人から聞いたから間違いない。私も知らない秘密が二人にはまだまだありそうなんだけど教えてくれないんだよね。


「ん、そんなことないよ。ただ真っ正面で目を合わせたままずっと常識的に注意されるだけだから、視線をずらしたら時間が増えるだけ」

「それは拷問に近いんじゃ」


 ほぼ友人君専用だけどね。私と出会う前から友人君は度々されていたみたい。秋夜姉さんには周平があまりやりたくないみたいだけど。


「湊ちゃん、秋夜姉さんも悪気があってしたことじゃないからあまり酷いことは」


 眞子ちゃんは優しいね。


「大丈夫大丈夫、今の秋夜姉さんにちゃんと対応できる人がいるから」


 私はスマホである人に掛ける。


『はいはい。秋夜の彼氏ですよ~』


 ほら適任。



ーーーーーーー

このあと秋夜は彼氏に拉致されました。

なぜ常識がある秋夜が友人みたいな行動を起こしたかというと、眞子の先祖に男装してた女武将がいて眞子に血が濃く出ているからです。坪川家というより眞子に続いた血筋が、かなり昔に閑名家から別れた分家でした。

ほぼ百パーセント先祖返りを起こしている秋夜には坪川家は大変居心地良いところです。友人もなんとなく眞子の側は居心地がいいみたいです。


眞子は閑名家から逃げられるのかっ!?


彼氏『あーうんわかったけどどんな罰を与えたらいいかな』

湊「エロエロで」

友人「えっ!?」

彼氏『了解ー、3日ほど帰れないってご家族に伝えてねー』

湊「だって友人君」ニッコリ

友人「一番の罰だ・・・」


閑名家が抜けない・・・(;´д`)

次、次からはちゃんと学校編を書きますのでっ!(;・ω・)

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