第165話ドッキリは笑わせてなんぼ
湊視点
来客を知らせるチャイムが鳴った。
「私が行くよ」
「うん、俺はちょっと手が離せない」
珍しく私の家のキッチンで料理をしている周平から離れる。
そういうことはしていない、ただ周平の背中にくっついてイチャつていただけ。さすがに人が来るのにするのは私には高等すぎる。私も周平も痴態はお互いしか見てはいけないので。
今日から一泊二日の私の家でのお泊り会だ。
一応期末試験お疲れ様パーティーという名目になっている。
実際は今年四人で集まる機会が今回ぐらいしかなかったこと、クリスマスイブは私も眞子ちゃんも彼氏といたいし家族とも一緒に過ごすから年末はさらにね。
眞子ちゃんの場合はその年末が本番だから友人君は頑張ってテレビで見るような熱気の中で彼女の為に頑張って欲しい。
かわりに私達は自宅で美味しいモノを食べながらまったりします。
お昼過ぎぐらいに来ると言っていたから時間的に眞子ちゃん達に違いない。
友人君が駅まで迎えに行くと周平に連絡してきたから私は行かなかったんだけど、うんうんちゃんと彼氏の役目を果たしているようだ。
「は~い、私と周平の愛の巣にようこそ~」
ガチャリと玄関ドアを開けた。
実際は時東家の方が愛の巣だけど今は穂高家に二人っきりいたので臨時愛の巣である。
「うわぁ、俺帰りたくなったよ」
「帰ってもいいけど彼女は置いていってね」
玄関前で嫌そうな顔をして立つ元喧嘩友達。
その後ろに隠れるようにしているのは眞子ちゃんだ。顔だけ友人君の横から出してこちらを見ている。
「なぜ眞子ちゃんは警戒しているのかな?」
「・・・ドッキリはありませんね」
キョロキョロと確認する眞子ちゃんに思い出したよ。初めて穂高家に来たときはドッキリを仕掛けていたね。
たしかメリーさんとおさんどんさんだったかな。
「さすがに半年以上一緒にいてあんなことはしないよう」
「いえ・・・周平君を見るまで安心できません」
「親友が信じてくれません。彼氏さんどうにかしてください」
「悪行って後々まで残るもんだなぁ」
「アフロのタンクトップだった友人君は後に具視になったね」
「あ、データはちゃんと取ってありますよ。具視の筋肉を書くときに使ってます」
「ちゃんと残っているみたいだよ」
「嫌な残り方だー」
眞子ちゃんも彼氏の痴態を有効活用するとは遠慮が無くなったようで結構結構。
二人はいろんなお菓子が入った袋を渡してきてくれた。
私達も用意しているけど多くて困ることはない。前は眞子ちゃんに配慮して夜は男女別にしたけど今回は四人でダラダラ夜更かしするつもりだ。
「さあさあ外は寒いんだから入って入って、外の冷気が室内用の薄着の私にはきついから」
私の言葉に急いで玄関に入る二人。
あと友人君はおでんも買ってきていた。
中は大根、牛すじ、卵、コンニャクなどコンビニで一番大きな容器に入っていた。
「ふむふむこれは合いそうだね。二人はちゃんとお昼ご飯は抜いてきた?」
「言われた通りに食べてませんけどトモヒトが」
「コンビニで出来立ての唐揚げがあったから食った」
ジト目で隣の友人君をみる眞子ちゃん。
空腹には辛かっただろう。もう少しウチの周平を見習ってほしいものだ。
「彼女を思いやることが出来ない後で罰が下るとして」
「え、なんで?」
友人君を無視してリビングに入る。
「お邪魔します」
「おう」
「お邪魔してください。友人は帰れ」
「酷くね?カップルで帰れって。あ、さっきの聞いてたな周平」
「何のことだ?ちゃんと挨拶が出来ない奴は死ねって秋夜姉さんが言ってただろう」
「お邪魔します・・・」
キッチンでまだ調理している周平に二人は挨拶して一人はへこんだ。
眞子ちゃんは覚えて損はないからね。
後悔と反省がどっかに落ちてしまって、誰かがへこませないといけないダメな馬鹿の子なのです友人君は。
周平のお役目を眞子ちゃんが受け持ってくれると友達して、ぶっちゃけ私が周平を独占出来るので頑張ってほしいのです。
「周平が頑張ってくれているのでお昼は美味しいのが食べれるよ」
「・・・周平君はまともですね」
「俺は女友達に会って早々に正気度を疑われる存在なのか」
暖房を効かせた室内でそこそこ動いた周平はTシャツにエプロンという格好だ。眞子ちゃんが見る分には何もおかしいところはない。
その姿に安心した眞子ちゃんは緊張を解いたみたい。
二人揃ってリビングのソファーに座る。
「今日のお昼はね周平の作る料理の中でもちょっと特殊なやつで・・・ちゃんとまともなのだから警戒しないでいいよ。人がいないと美味しさが半減するだけだから」
再び警戒し始めた眞子ちゃんを落ち着かせる。
最初の頃の私達はこの子にどれだけ不信感を抱かせたのだろうか、うん結構やらかしているね。でも私の家に来たときだけとは微妙に悲しいなぁ。
隣の友人君はだらけ過ぎ、あと着席してすぐにおでんを食べようとしない
「湊、そっちに持っていくの手伝ってくれ」
「はいは~い」
周平に呼ばれてキッチンに入る。
私の家はキッチンがリビングと対面型なので周平は私達を見ながら料理が出来ていた。それでも時東家でよく調理するのは慣れているほうがしやすからという理由である。今日は準備に時間がかかるだけで作るときには手間がかからないので穂高家で仕上げをしているのだ。
「まずこれ」
渡されるのは熱いほうじ茶、寒い中来てくれた二人の為に来たときに淹れたのだろう。こういう心配りがサラッと出来るいい男が私の恋人である。
「はいどうぞ」
「はふぅ~美味しいです」
「ズズズ美味い。これジジイが隠していたお茶じゃねえの?」
お茶を飲んだ二人はホッとしたみたい。
やはり冷えていたのか体の中から温まった二人は上着を脱ぎだした。
友人君は正面に2Dキャラの農民がヒャッハーに追われているのがプリントされているTシャツを着ている。
そんなのどこで買ったのかな?
「ふぅ体の中から温まってきました」
「・・・」
「・・・」
眞子ちゃんがコートを脱ぐと出てきたのは膝下まである縦セーター、凶悪な二つのミサイルの形を主張させる凶悪な恰好である。
友人君の趣味かと見たら驚いて眞子ちゃんを見ている。知らなかったようで厚手のコートで今まで見ていなかったのだろう。
本当にこの無自覚受け親友は・・・これはあとで注意しないといけない。
チラリと周平を見るとビックリしたように眞子ちゃんを見ていたけどすぐに調理に目を移した。
前に親友の彼女をそういう風に見るのも気分が悪いと言っていたけど、同性の私も見てしまうほどだから男の子の周平が一瞬でも凝視するのはしょうがない。
あとで搾って啼かせるが。
「ほい今日の昼食」
「これは・・・」
「あ~これか」
もう一度キッチンに戻り周平と一緒に特製料理を持ってくる。
周平が用意したのは手打ちうどん。
昨晩からコシを出すために足で踏んだ本格的なもので、小人数分作るのが難しく友人君のような大食漢がいないと周平は作らない。
眞子ちゃんはテーブルに置かれたうどんに、ではなくそれが入れられている容器に驚いていた。
「ビックリうどん、別名たらいうどんです」
周平が眞子ちゃんに説明するのは一抱えある木桶にお湯ごと入ったうどん。
昔、香川県のうどんがテレビで紹介されたときに出たのを閑名家で見ていた周平と友人君と槍ジジイがノリで買ってしまったもので、閑名家では数回使用されてお役ごめんとなった悲劇の遺物である。
飽きた二人に要らねと言われたので時東家の倉庫に眠る周平の料理器具の一つになったのだ。
周平の身体のこともあったのでお久しぶりの登場である。
「みんなで一つ鍋ならぬ一つたらいで食べようか」
わたしがうどんをつけるめんつゆと薬味を置いていく。
ちなみにめんつゆも周平お手製、でも趣味とは絶対に認めない彼である。
即食べ始める友人君。
「うめえっ、久しぶりだな」
ズルズルと嬉しそうにうどんを啜るけどいただきますを言わなかったね?
食べようとした眞子ちゃんを手で静止する。
「湊ちゃん?」
もう少し待とうね大惨事が起きるから。
「友人君、一味もいるんじゃない」
「お、そうだな。周平取ってくれ」
「お前なぁ」
「立っているのはジジイでも使うぞ俺は」
箸で周平を指す友人君は美味しいモノを食べて気が緩んでいる。
たらいを眞子ちゃん側にずらして非難させて周平にアイコンタクトで合図を送った。
ちょうどキッチン側に座っていた友人君はすでに私達の罠に捕らわれている。
本当は眞子ちゃんのためのドッキリだったんだけどまあしょうがないか。
「一味だけだな?」
「モウグモグ、あ~あとお茶もブゴファッ!!」
キッチンに向かうために私達に背を向けた周平に声を掛けられて、うどんから顔を上げての周平のほうを向いた友人君がうどんを吹いた。
私達は同じ事はしない、というより前のことなんてよく忘れるからねドッキリなんて特に。
眞子ちゃんが驚いて喜びそうなことはないかなと周平と話し合いの結果出てきたのは腐に関わるのがいいということに纏まった。
そして考えられたのがTシャツにエプロン、そして下半身はTバックビキニ水着姿の周平です。
隠したうえでの不意打ちを狙っていみました。
「どうした友人っ!?」
心配な顔で友人君に近寄る周平。
わざと足を広げてエプロンから生足を出しているけど。
「グホォオッ!ゲハッブファッ」
口と鼻からうどんを出して悶絶している友人君は必死に手で周平を自分に近寄らせないようしていた。
「やっぱり仕掛けたプッ、フフフ」
私が止めので何かあると眞子ちゃんは感じたのだろう、笑う程度ですんでいた。
昨晩のうちに周平の足は剃って綺麗にしています。
網タイツと途中からパンツを被るのは、周平がお前は俺をどうしたいんだど拒否された。
ママ達の映画コレクションにあったのを参考にしたんだけど不評だったみたい。
私が眞子ちゃん達が来る前に周平に抱きついていたのは、私が襲わないように軽い接触で満足するためです。
昨晩は興奮したなぁ。
「なあどうしたんだ親友。ほらこっちを向けよ」
「ゲホッ!て、グホッめえ周平っ覚えて」
「なんだ俺の後ろに何かあるのか?」
後ろを振り向く周平さん、腰をくねらせているのでお尻がプリッとしている。
「ブフォアッ!」
「プッ!」
うん、二人にはドッキリ大成功だったみたい。
眞子ちゃんデジカメ出さないで撮影は禁止だよ。
ーーーーーー
眞子「撮っていいですか」
周平「顔は撮らないでねポッ」
友人「デジカメが腐るからやめとけ」
湊「昨日撮ったから一部ならあげよう」
周平「ほ~らおいなりさんだよ~」
友人「ブハッ!」
・・・なに書いているんだろうか(;´д`)
まあ知っている人はいますよね参考にしたのは変○仮面です。
雑誌で見たとき編集者は狂ったかな?と子供ながらに思いました。
それから長い時間が経って映画化したときは時代も狂ったなとしみじみと感慨深く。
若い頃に香川にいたときがあるんですがうどんがめちゃくちゃおいしかったです。ビックリうどんは友達と人数分頼んでテーブルに乗らなくて別テーブルで食べる変なプレイに( ̄▽ ̄;)
ほかにはぶっかけ2001だったかな、ぶっかけうどんのつゆがかき氷になっていて夏でも体が凍える謎メニューがありました。
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