第73話アロマな梅ちゃん先生


 周平視点


 悪さした人には天罰が下ることになった。

 湊がどこかに電話していたのを友人は聞こえてみたいなのだが、よほど聞きたくないことだったのか死にそうな顔をしている。


「俺は二度と湊ちゃんには逆らいません。お前の彼女は悪魔だ。わざと俺に聞かせて地獄を味合わせる」

「いやいや、俺の彼女だけどお前の友達でもあるからな」


 いったい何を聞いたんだ。いや聞くまい、絶対に俺が聞いてもろくでもないことは確実だ。だって俺は秋夜姉さんの弟分、弟の友人がダメージを受けて俺が受けないはずがないのだ。


 犠牲は最小限に、友人への説教は放課後だな。

 休み明けだから湊はいろいろとあるだろうし暇つぶしにしよう。眞子さんにも見てもらうかストレス解消にはいいかもしれない。 

 最初は平気そうなのだが顔を反らされずにくどくど怒られると、次第に友人は萎びていくのだ。昔からの友達は友人に迷惑かけられていたのでよく見て楽しそうにしていた。

 きっと眞子さんは喜んでくれるだろう。


「よし、眞子ちゃん。ご飯を食べて元気出そうね。周平今日のお弁当は?」

「閑名家からパクってきた高級調味料と冷凍されていた高級食材でいつもの料理を数段階上の味にしてみました」

「あ、なんか冷凍庫の中が減っていると思ったら」


 知らんな。俺に料理担当を任せた姉に文句を言え。おかげでゴールデンウイークの後半の俺と湊のご飯は豪勢になった。残りは全て今回の弁当に使われている。調味料は別だけど・・・。


「・・・美味しい」


 湊に食べさせてもらっている眞子さん。餌付けされている小鳥のようだ。よかった。ついわさび入りとか辛子入りとかのロシアン系をしなくてよかった。いくつか危ない唐揚げをさりげなく取って友人の取り皿に置いていく。時折悶絶するのは知らない。


 少しずつ元気を取り戻している眞子さん。

 湊は食べさせるの得意である。主に俺で慣れているからな。


「次は何が食べたい?」

「う巻きが食べたいです。でもお弁当に入っているのがムカつきます・・・」


 おっと俺にも愚痴が出始めた。まあ少しは余裕が出てきたのだろう。そのう巻きのウナギは槍ジジイのつまみ用で冷凍されていたものだ。保護者の責任があるだろうからぜひとも食べて下さい。


 湊が箸で一口分に切り分ける。


「はいアーン」

「あーん」

「あーん」

「「「「・・・なぜにここにいる?」」」」


 女の子ほのぼの餌付けを見ていたらもう一羽増えた。

 湊はついだろう、その増えた一羽に餌をあたえる。


「む、なんですか中の鰻が凄く美味しいですよ。もっとください」

「いやいやなんでいるんですか梅ちゃん先生」

「もう梅ちゃんと言ったらダメですっ」


 いつの間にか教師、年齢不詳の梅田富子が現れた。

 ミニマムティーチャー梅ちゃん先生。槍ジジイとは別種の特殊なナマモノだ。外見は小学生、頭は教師、ご飯を求めて動く姿は餌をねだるペット。


「もぐもぐ、次はお肉が食べたいです」

「じゃあこっちのアスパラのベーコン巻きはどうでしょうか」

「いいですねっ!わたしはお野菜も好きですっ」


 あ、眞子さんが復活して餌付けし始めた。


「はいお茶で口の中ををサッパリしましょうか」

「ごくごくほうじ茶ですね。これで一から濃ゆいものが食べれますっ」

「はい手羽中の甘辛揚げです」

「むぐむぐ醤油の味が休み前よりも美味しくなってますね」


 閑名家にあった特選醤油です。というか覚えてるの?

 とうとう湊と眞子さんの間に座って本格的に給餌されはじめたよこの教師。


「ふう、美味しかったです。三年生の上村さんの次にランクインですね」


 うん?今回の弁当は自信があったぞ。そうか俺の上には上村さんという人がいるのか、その梅ちゃん先生ランキングは俺の上には後何人いるのかな。


「周平が凄く気にし始めたよ」

「いつも適当大雑把な男の料理だとか言っているのにな」

「その男の料理に負けている私はなんだって感じなんですがね」


 うるさい外野。人に順位を付けられると気になるんだよ。三年の上村さんは俺のライバルに認定だ。


「ところでなにか問題が起きてたみたいですけど解決したんですか?」


 俺が作った電子レンジポテチをバリバリ食べながら聞いてくる梅ちゃん。油を使わないぶん地味に作るのが面倒臭いお菓子を遠慮なく食べて。

 カロリーが市販のものより低いと言ったら近くにいた女子達の目がギラリと光ったよ。説明しなかったら俺は殺されていたかもしれない。


「ええ梅田先生のおかげで解決しました」

「さすが先生ですね」

「え~そうですか~」


 湊、眞子さんに褒められて照れるミニマムティーチャー。餌付けされてただけですけどね。

 眞子さんは完全に復調したようだ。笑顔が食べ物以外の何かを補給したと伝えている。湊も補給したようだ。


 突然現れて食べるだけで生徒の心を癒す梅ちゃん先生はいいよな。

 ただウチの友人並みに食べるのは少々困る。ほら馬鹿が微妙に足りなかったと悲しそうな顔をしているよ。



ーーーーーーー

周平「三年の上村さんめ・・・」

湊「ライバルを意識する周平は格好いいなぁ」

友人「バカップルめ」

眞子「そこは嫉妬しないんですね湊ちゃん」

梅ちゃん「ポテチ美味しいですよっ!」( ´∀`)


筆がのらない・・・(;´д`)

これが燃え尽き症候群でしょうか?

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