第17話閑話イエェェエイ!雨乞いフィーバータイム2の始まりだぁぁぁ!

※最初に、頭を空っぽにしてお読みください。考えると正気度が下がります。



「またこの世界にやって来たのか・・・」


 長い溜息が出てしまう。


 軽くトラウマものになりそうな夢の中に俺は再び舞い降りた。


 雨乞いフィーバータイム2の世界に!

 

「今回は意識がはっきりしているな」


 以前は自分じゃないような感覚があったが、今の俺は自分が周平ということを自覚している。


ポンッ


「うをっなんだ?名前の変更をしますか?」


 目の前に表示画面出てきた。

名前を変更するのか聞いている。それそれ基本は・・・田吾作。

周平に変更した。あまりの嫌さに反射で自分の名前にしてしまった。


現在、俺は時代劇の農民が住むような家にいる。

それでどうして雨乞いフィーバータイム2の世界に来たかわかるのかって?

それはすでに下半身フンドシ姿だからだっ!


「戸惑うこともなく一瞬で理解させられる恰好はある意味凄いよな」


 マッチョな村人に着替えさせらるのは勘弁だが、元から履いているのなら仕方ない。


「村長ぉぉ~!」


 どうしようか悩んでいると貧相な男が家の中に走りこんできた。


「もうだめだ村長。上の水源も隣の村に取られちまった。このままだと村のみんなは一週間ももたずに全滅するべ」


 男が必死に俺に訴えてくる。その横には再びの表示画面があった。


あなたの村が全滅するまでのこり七日!


・隣村を襲撃する。

 水源を確保した隣村は油断してるよ。攻め込むなら今だ!

・山に入って食材の確保。

 山に入って食材ゲット!だけど狼、猿、山賊、山の神(大猪)などが殺意満々で襲ってくるよ。初心者には絶対に無理!

・お役人に税の免除を請う

 上の方なんてこちらを畜生以下としか思ってないよ。すぐに完全装備の武士が数百人で殺しにやって来る。死にたいなら確実だ!


 選択肢がクソだぁぁ!

 殆ど一択しかないじゃないか。俺よ早くこの悪夢から目を覚ましてくれっ!


 夢の中でも死ぬ選択肢は取りたくない。おとなしく隣村を襲撃をするを押す。


「村長が覚悟決めたならオラたち村人もやるべ!」


 そう言って男は外に出ていく。

 隣村を襲撃するぞ!と叫んでいるのが聞こえてきた。


 ああ、夢の中なのに俺の手は汚れてしまった。


 選択していくゲームかと思ったら、ごっりごりのアクションゲームでした。しかも無双系。

あの後、水源を確保してささやかな宴をしている隣村に、俺達は襲撃をかけた。

 逃げ惑う女子供、必死に抵抗してくる餓えていたのであろう痩せ細った男たち。


 それに対するはマッチョな我が村の男共衆。

 世紀末覇王になった気分でしたよ。

 マッチョにやられていく隣村の男たち、それでも村長である俺を倒せばどうにかなると考えたのだろう、多くの犠牲を出しながらも俺に殺到してきた。


 それに対する俺の武器はクワ。

 振り上げて降ろすだけで血しぶきが沢山飛んでいく。


 途中でクワの先が折れたら、武器の種類が変わり槍になった。折れた部分を刺してダメージが折れる前より上がっていた。


 大した手間も無く隣村男は全滅。隣村はこちらの村に吸収された。


 本当に誰だよ。こんなゲーム作った製作者は・・・。


 その後もいろいろとあった。

 猿共の襲撃に、狼の襲撃、山賊の襲撃に、武士の襲撃に、山の神襲撃・・・襲撃しかねぇ!


 いや少し恋愛ものがあったのよ。

 ヒロインの村の娘が出てきたんだけど、おさげ眼鏡委員長に昇格した坪川眞子さんだった。しかし、村長とマッチョな男共を見るのがいいと誘ってもいないのにお断りされたよ!


 そして今、前の夢と同じ日照り神様が襲来するイベントが発生した。

 違うところは俺がすでにフンドシ姿なこと。村が砦規模に要塞化したことだ。


 フンドシは凄かったよ。服を着たらマッチョの能力が半減するんだよ。危うく猿に凌辱されるマッチョを見ることになりかけた。


 村の要塞化は日照り神様を想定してだ。

結構な時間この世界にいるが戻る気配がない。ラスボスらしき殿様は倒したのにだ。

 なのに戻れない。

 最後の望みはほぼ無敵の日照り神様を退治することだ。


「かかってこい日照り神様よ!俺は現実世界に帰るぞ!」


 見張り台の上で吠える。


 村の目の前に日照り神様がやって来た。

 外見は昔の公家のような、巫女ような服装をしており、顔を布で隠している。その身体からはもの凄い熱気を放出していた。


「こちらは地下湖を発見して熱対策は万全だ。日照り神様よ、そう簡単にはやられはせんぞ」


 テンション上げ上げだ!折れたクワで床をドンドン叩く。

折れたクワは最後まで装備から外れなかったよ!


「周平」


 爆上げ状態の俺にやけに聞きなれた声が聞こえた。興奮が一瞬で無くなる。


「何をやっているのかな周平?」


 その声は日照り神様からだった。嘘だ嘘だと言ってくれ!


 日照り神様が顔を覆っていた布を外す。


「帰るよ周平」


 その顔は俺の彼女である湊だった。


「はっ!」


 意識が覚醒する。間の前は見慣れた自分の部屋の天井だ。

 大の字で寝ていたらしい。

 チープな音楽が聞こえるので頭だけ上げると、テレビにBADEND、日照り神様に村は滅ぼされましたと表示されている。


 友人に雨乞いフィーバータイム2を借りたのだ。

 クソゲーとの評判らしいのだが、プレイしてみるとクリアさせる気あるのかという容赦のなさになかなかの魅力を感じノーマルモードはクリアした。日照り神様がどのくらい強いのか興味があったので挑戦したところで眠ってしまったようだ。


「まさか、夢の中では日照り神様が湊だったとは。絶対に勝てないと脳内で処理したのかな」


 起き上がろうとすると、右腕に重み感じ動けない。


 見ると湊が俺の腕を枕にして寝ている。

 こちらの身じろぎに起きなかったということは深く眠っているのだろう。


 まだ眠気があったので湊を抱きよせて眠りについた。


ーーーーーーー

「はわわ!周平に抱きしめられてる!」

「スースー」

「キ、キスを・・・だめっ恥ずかしい」


湊は想定外のことには弱いです。


どうでした。かなり省略しましたが筆者の正気度を疑うでしょ?

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