第67話対戦は足の引っ張り合いが基本です


 周平視点


 ヒャッハー集団、ゴリラ、隣の信長さんの飽和攻撃は日照り神様でも瞬殺は難しいようだ。


「このまま湊ちゃんには沈んでもらうよ。周平君の隣でゆっくりプレイを見ていてね」


 闇落ち眞子さんこえー。容赦なく親友を強敵と見て序盤殺しにきているよ。


「くっ、でもこのくらいなら」

「そこに私の信者を向かわせます」

「「「信者ってなに?」」」


 いや聞いたことのない言葉に三人揃って聞いてしまった。


「ふふふ、いいですよね普通の赤フン村人。ずっと自分のキャラの胸元を凝視する連中を村人とは呼びませんよ私は。使い勝手のいい信者です」


 眞子さんの瞳孔が開いちゃってるよ。一人沈黙していると思っていたら、恐ろしいことになっていた。


「一度止めようか」

「マジやめようぜ」

「良いモノ作るから」

「何言っているんですか?私は勝つために精神を削っているんです。逃しませんよ」


 何が眞子さんに起きたのやら。


「ほらほら最強キャラなのに序盤で消えるのはどんな気持ち湊ちゃん?」

「ドS眞子ちゃんめぇぇ」


 楽しそうだなこの二人。

 その間に俺は隠れて作っていた村に移動しよう。

 ところで村が壊滅したら負けなの?前から分散して予備の村を作って元の村が破壊されたら逃げてたんだが。キャラが死亡しただけがゲームオーバーではなかったんだ。

 本気で日照り神様(湊の精神搭載)を倒すためにダムを数基作る予定だったんだが計画変更だな。でもダムは造る。


「さあこれで終わりです」

『湊(日照り神様)の村に眞子の信者が侵攻したよ』


 眞子さんの信者?が湊の村の近くに現れた。

 三つの勢力に対応している日照り神様には信者の対応まで出来ない。このまま湊の村は壊滅してゲームオーバーになる。


「と思ったでしょう眞子ちゃん」

「え?」

「うっしゃぁぁ獲物がやって来たぞ!」


 湊を攻めていた友人の猿軍団が方向を変えて信者に突撃していく。突然ことに驚く眞子さんは対応できず信者たちは猿軍団にやられていった。


「え?なんで友人君が?」

「甘いね眞子ちゃん」


 困惑している眞子さんをよそに、湊は残ったヒャッハー集団と隣の信長さんを駆逐していく。先ほどまでの焦りはなく、余裕をもってヒャッハー集団と信長さんを倒していった。


「これが一対一で村に攻め込んできたのがNPCなら私に勝てたんだろうけどね。さすがに私達を舐め過ぎだよ」

『眞子の村に周平の村人が侵攻したよ』

「なっ!?」


 骨村娘が俺の侵攻を教えた。


「私の村は見つかってないはずなのにっ」

「俺、湊、友人の村の位置がわかってて、ヒャッハー集団の来た方向がわかればね」


 行動パターンが謎の友人を予測するより簡単簡単。方向を何度か変更しないとどこからきたかすぐにバレるよ。


「一人勝ちはいけねぇよ」

「ここで湊が落ちたら眞子さんの勝ち確定だもんな」

「「それじゃあ面白くない。泥沼戦といこうぜ」」

「ふみゃーっ!」


 ふむ眞子さんも湊と同じように猫になるんだな。

 気づいているかな眞子さん。さっき俺達が一時休戦を結んだことを。


「一度止めようか(眞子ちゃんの一人勝ちを止めよう)」

「マジやめようぜ(眞子ちゃんが侵攻してきたらそっち止めるわ)」

「良いモノ作るから(じゃ、俺はいいものあるから村攻めな)」


 だいたいこんな内容だ。途中から猿軍団が信長さんを攻撃し始めたから休戦は結ばれたことがわかったのである。

 湊はわざと光線を的外れの方角に撃ち、だいたいの眞子さんの村の方向を教えてくれた。

 卑怯ではない。ただ足を引っ張るための少し協力しただけだ。

 そのうち眞子さんも俺達のノリがわかるさ。


「くっまだですっ!私の村は信者が守っています。赤フンの攻勢ぐらいでは」

「隣の信長さんの領地にあった火薬を確保して火縄銃を装備した赤フンです」


 パンパンパン


「なぁーっ」


 村の前で待ち構えていた信者達がバタバタ倒れていく。

 湊の村に誘導した後に信長さんの領地から略奪したのだ。あまり時間が無かったので少量しか確保できなかったので、眞子さんの村に侵攻した赤フン達は戻って来ることのない突撃隊となった。倒れるまで眞子さんの村をかき回してくれるだろう。


 これで眞子さんはかなり勢力を落としたはずだ。湊も村の再建に力を入れないといけないはず。友人は湊、眞子さん信者との連戦でかなりピンチのはずだ。たまに予想外に力をつけてくるから要注意にしておこう。

 俺も本拠地の村を放棄し、精鋭の赤フンたちを犠牲にした。

 全員が足を引っ張りあった結果だ。


「序盤からなかなかのスリル満点だな」

「眞子ちゃんのキャラと陣営はやばいよね。危うくやられるところだったよ」

「あの信者三人でゴリラを一頭倒せたぞ」

「くうぅぅ、早く終わらせてこの精神消耗の刑から逃れたかったのにっ!」


 悔しがる眞子さんに愉悦を感じる俺達だ。

 せめて一時間は遊ばないとバージョンアップの感想が話せないじゃないか。

 俺は隣に信長さん。友人は具視ヘアーの猿軍団。湊は最強チートキャラの日照り神様の他にもいろいろ切り札がありそうだ。眞子さんなんか村人じゃなくて信者だ。

 いったい俺達は同じゲームをしているのだろうか。

 やばいなバージョンアップ雨乞い2.14。


 泥沼の今のうちにダムを造らないとダムを。

 信長さん?日照り神様にジュッとされてたね。なむ~。



ーーーーーーー

そろそろダイジェストにしないと何話でも書けそうです。筆者はおもしろいんですがねー。

眞子もそのうち三人のゲームプレイに慣れてきます。

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