第68話やはり最後は日照り神様(Ⅴer嫉妬湊)

筆者はおもしろいけど雨乞いフィーバータイム2.14はこれで終了~ヽ(*´▽)ノ♪

ツッコミどころ満載の回になったなぁ(°▽°)



 周平視点


「ふっ、やはり周平と私は惹かれあう運命だったんだね」

「格好つけてるけど眞子さんと同盟組んで俺と友人を潰しにきているだけじゃねえかっ!」


 隣にいる湊が俺の肩に頭をすりすりしているが俺は画面に集中していて構う余裕はなかった。


 あのあと、俺達は小規模の衝突はあったが各々が力を溜める期間に入った。

 俺は山の麓に移動し、ダムを造りながら村の前に函谷関を造る。だって選択肢にあったから、最近映画を観ちゃったから作るしかないだろう。

 隣の信長さんはジュッとなったが、今の村の近隣には義元さんと長慶さんが住んでいた。種子島を持っていないから正直ビミョー。強い筈なのに信長さん達世代の前座扱いされた人達だ。


『つまらなくなったからMAP画面を全表示にするね』


 開始からそれなりの時間が経ったら骨村娘の宣言で全員の村が全体MAP画面に表示された。


「周平はなに函谷関を造っているのかな?」

「日照り神様対策だ。コマンドに追加されてたからな」

「あの城壁の高さ何メートルあるんだよ」

「完全に守りに入ってますね」


 褒めるなよぅ。


「友人は・・・巨大サファリパーク?」

「村を造るのは諦めた。近隣のアニマルを村人化に集中したぜ」


 広い範囲が拓かれて様々な動物がいた。ただし村の形は一切無い。あ、中心に具視ヘアーがいるよ。地面に付きそうなくらい伸びてる具視ヘアー。どれだけ格付けバトルをしやがった?


「んー一人人間がいるよ」

「犬猿雉を村人にしたら桃太郎が現れてな。たかだか刀一本持つ人間なんぞ敵にもならんかった」

「成長すると犬猿雉と刀だけで鬼によく挑んだなと考えるようになりますよね」


 友人のところはデンジャラスサファリパークと。


「眞子さんの村は・・・」

「うん凄い都市だね・・・」

「・・・白くていいと思うな」


 友人が言葉を選んでいるよ。


「うふふ、正直に言っていいですよ」


 眞子さんが綺麗な笑みをする。

 怖い、凄く怖い。短時間で眞子さんがおかしくなってるよ。


 眞子さんの村・・・というより洋風の城塞都市だ。円状に広がる都市を石の城壁が囲んでいる。このゲーム日本の戦国時代ぐらいの設定だったよな?

 都市の中心は広場になっていて、その広場にみっちりと白フンの信者がいるのだ。


「私の信者は優秀でして勝手に村を拡大していくんですよ。村育成ゲームなはずなのにオートなんです。私はキャラを少し動かすだけですむんです。ほらこんな風に」


 眞子さんの画面を見ると広場の中心にいる白フン女武将が軽く左右に動いた。何かが揺れる。

『『『うおおぉぉぉうっ!眞子様ああぁぁぁぁ!』』』


 音割れしそうなくらいのおっさんの声が響く。


「あ、全表示になったの同時にミュートしていたのが解除されたみたいです。元に戻しておきますね」


 ニコニコ笑顔で音量をミュートにする眞子さん。


「あれはやばいぞ。日照り神様よりヤバいモノかもしれん」

「それより眞子ちゃんの精神が心配だよ」

「序盤で終了させたほうがよかったか」


 小声で話し合う。友情破壊ゲームだけじゃなく精神削りゲームも追加されたのかよ雨乞い2。やみがふかくなったなぁ。今後の一人プレイが楽しみだ。


「眞子ちゃん眞子ちゃん」

「なぁに湊ちゃん?」


 親友の変わり様に心配したのだろう。湊が眞子さんに声を掛ける。


「このゲーム止めたい?」

「ゲームというよりこのキャラを辞めたいの、ゲーム自体は戦略性がまだまだありそうだから続けたいけどね」

「なら私と手を組んで男共を倒そう。私は周平、眞子ちゃんは友人君で」

「「はあっ!?」」


 俺と友人は湊の言葉に声を上げた。

 だってこの二人が手を組むと。


「・・・そうだね。友人君達が邪魔しなければ私は穏やかで綺麗な心のままでいられたんですよね」


 ゆらりと男二人を見る眞子さん。ホラーゲームより怖い。眞子さんからは見えないだろうけど湊の顔はかかったと狐の様ににやけているよ。


「ま、待ってそれは湊の罠だ。俺達三人で襲撃されたら困る湊の策略なんだよ」

「そうだって!眞子ちゃんの戦力を減らす作戦だってっ」

「うんうんわかってますよ。でもね二人と組んで湊ちゃんを攻めると私を主力にして消耗させて湊ちゃんもろとも潰そうとしますよね?ね?」


 思わず俺と友人は顔を背けた。

 だって日照り神様と信者達を潰し合わせない限り俺達二人に勝ち目はないのよ。一応バージョンアップの切り札は見つけたけど条件が厳しい。サファリパークのキングにも切り札はあるだろうがしようしていないということは同じように条件があるのかもしれない。


「私は友人君のサファリパークを相手にすると回り込まれて村を攻撃されるの可能性がある」

「私には周平君の函谷関を抜ける攻撃力が無い」


 女性陣が握手した。男性陣にとって最悪の同盟が完成したのだ。


 そして冒頭に戻る。

 日照り神様が短距離極太光線で森を焼きながら俺の村にやって来ている。友人の方は信者が森を切り開き神輿に乗った白フン女武将が侵攻していた。

 狂気度では眞子さんの方が上だな。


 義元さんと長慶さんをけしかけて兵を出させてもジュッとされて速度も落ちない。


「ちょっ、その火縄銃の量反則ぅ!」


 サファリパークの方は行動力の高い猿で攻撃しようとしているが種子島でやられていた。


「少し前に私の村で暴れた他の村人たちが持っていたのを見本にして製造しました。500丁ありますし、玉薬も十戦分ぐらいは余裕で戦えるぐらいはありますよ♪」

「周平ってめえぇのせいかあぁっ!」

「聞こえな~い。それは隣の信長さんのところの連中じゃねの?」

「てめえだろうが!」


 火縄銃も玉薬も信長さんの、それらをもって眞子さんの村で連中はすでに故人。俺という証拠はないのだ。まあ普通にバレてるけどな。


「周平は私を相手にしているのに余裕だよね」

「どこがだよっ。せっかく赤フンを馬に乗せた騎馬軍団を隠蔽状態で湊の村に向かわせたのをピンポイントでジュッとされたんだぞ」

「村から出撃してところまでは見えたからあとは予測だよ。余裕が無いから欺瞞行動も出来なかったみたいだし。こっちの赤フン歩兵が本命かな?」


 なにこの彼女。主力の赤フン歩兵部隊も見つけ出したよ。これで村を壊滅させての勝利条件はほとんど俺から消えた。


「くそっ、あんな寂れた村なら赤フンが五人もいれば勝てるのに」


 湊の村は初期の村のより少し大きくなったぐらいだ。柵ぐらいはあるがそのくらい雨乞い2の中では紙も同然だ。

 日照り神様が常駐していたせいで発展できなかったんだろう。時々三人で定期的に赤フンや猿軍団やヒャッハー集団を湊の村に遊びに行かせていたから日照り神様が動けなかったはずだ。


「村が発展してないと思うよね。だが甘いっ、日照りで発展出来ないなら地下に村を造ればいいのだっ」

「「「な、なにぃぃぃ!」」」


 湊がコントローラーを操作すると、村の地面が透過されてその地下空間が表示される。そこには眞子さんほどではないがちゃんとした村が作られていた。


「三人にバレないように作るのは苦労したよ」


 薄い胸を張る湊。

 一人だけ未来を造っていたよ俺の彼女。

 これも2.14の新しい部分なのだろう。でもほぼ日照り神様の弱点が無くなっているよ。どれだけ日照り神様が好きなんだよ製作者。


「まあ日照り神様が地上にいないと地下空間に光が無くなって酷いことになるけど」


 よく見ると村人たちが右往左往している。俺達には見えるようにシステムがしているのだろうが地下空間は闇の中のようだ。


「「「頭おかしいよ製作者」」」

「最初実行したときは心が少し痛んだよ。さあ私の村に希望の光をもたらすために早くやられてね周平」

「それは俺の村人が全滅ということになるだろうがっ」



 眞子視点


 あっちのバカップルはなかなか凄いことになっているみたい。

 湊ちゃんジオフロント造っているし、でも人は真の闇の中では精神が崩壊するよ。


「さあこっちはそろそろ終わろうか友人君」

「くっ、そう簡単には終わらんぞおぉ」


 私の方は圧倒的有利で友人君の陣営を制圧していた。


「人は道具を使うことで他の動物を倒せるようになったんです。もう私には勝てませんよ」


 すでにサファリパークの三分の二を占領している。動物軍団も火縄銃でやられると蜘蛛の子を散らすように逃げていった。いま具視ヘアーの周囲にいる動物たちは全盛期の十分の一もいない。

 だけど油断はしない。普段はアホの子の友人君ですが調子に乗った時はさらに上のアホの子になってます。なにをしでかすかわかりませんので全信者出撃で封殺です。湊ちゃんと同盟できたからできました。


 個々の能力値は高い動物軍団ですが結束力が無いのですぐに崩壊します。単純に友人君のキャラで持っている集団でしかないので奇策でもないかぎり弱いんですよ。


「さあ最初に落ちる悔しさどうです?辞世の句は読みますか」

「眞子ちゃん始める前と性格が完全に変わっているよな?」


 ふっ、常に人の気にしている部分を刺激されたら変りもしますよ。


「それが最後の言葉でいいんですね」


 信者に具視ヘアーの友人君を狙わせる。楽に死なせてあげよう。


「ふっふふふふ、甘いぞ眞子ちゃん」

「この状況で何が出来ると?」


 笑いだす友人君。


「たしかに俺は詰んでいる。最下位は確実だろう。だが最後の花火ぐらいは咲かせてやるぜっ」

『具視ヘアー(トモヒト)が金フンを開放したよ。十分間自分と配下の動物の能力が十倍になるよ』

「なあっ」


 具視ヘアーの金フンが吹き飛び股間が金色の光に包まれている。


『だけど十分後には股間の光が無くなるから、倫理的に駄目なので爆発粉砕の刑に処されるね』

「はっはっはっ、これだけじゃないぜっ。今こそ溜めてきた具視ヘアーの解放だっ!」

『具視ヘアーアタック!が選択されたよ。具視ヘアーが燃え尽きるまで近隣の動物たちが暴走、敵対勢力を貪り食うよ』

「どうだっ!俺の最後の自爆覚悟の切り札だぁ!」

「じょ、女子になんてものを見せるんですかぁ!」


 徐々に具視ヘアーが先端から燃えて無くなっている股間光りの黒マッチョが暴走した動物軍団の先頭を走って私のキャラに迫ってくる。私は腐の人ですけどそんなキャラは好みじゃないですっ!

 周囲の森からも動物が大量に出てきた。やばいこのままだと相打ちに持ち込まれてしまう。


「さあたった十分間だが楽しいダンスをしようぜ眞子ちゃん」

「そんな股間光りの黒マッチョ具視ヘアーなんてごめんですっ!」


 どうにかしてこの場から逃げないとっ。骨村娘ちゃんが爆発粉砕の刑と言っていたからこのゲームを作った製作者なら周囲に甚大な被害を起こすはず。

 勝てるはずだったのにぃ!



 湊視点


 眞子ちゃんの方は時間制限ありのデスマッチにゲームが変わったみたい。

 やはり友人君は奥の手を持っていたみたいね。

 ちらりと見たら具視ヘアーを燃やしながら股間を光らす黒マッチョが男装の白フン女武将を追いかけまわしている。すでに倫理的にアウトじゃないかな?


 日照り神様なら勝てるだろうけど相手するのはちょっとね。それに私には周平をあいてにしなければならないのだ。眞子ちゃんなむ~。


「さあ函谷関前まで来たけど何かあるかな周平」


 流石建築MAXといったところか、漫画と同じような関が造られていた。チョイスが一緒に観に行った映画から出るのは私にグッな感じである。


「くっ人の赤フン達を蹂躙したくせに」


 日照り神様に勝てる存在がいないから周平が勝つには私の村を壊滅判定にしないといけないけど、私の村はジオフロントでそう簡単には滅ぼせない。

 ただ私の画面には村人たちの精神状態が発狂になっていくアラームが鳴っているのは秘密だ。生きていれば村は壊滅にはならない。


「全体MAP画面で見たら周平の村はそんなには発展してないね。函谷関に力を入れすぎたかな?」

「ああ、今回は近隣にお友達がいたからな」

「義元さんと長慶さんだね。でも日照り神様に怯えて出てこないよ」


 何度か侵攻途中で部隊を派遣してきたから小光線でジュッしたら引きこもってしまった。周平にしては詰めが甘かったね。


「ふっふっふっ俺がこのくらい予想してなかったと思うか?見ろっ義元さんに長慶さん!お前たちが欲しい奴だぞ!」


 函谷関の上から荒縄で縛られたいい着物着た男が降ろされた。


「え?なにそのキャラ」

「苦労したんだぞこのキャラ探すの」


 意味が分からない私にため息をつく周平。むっ馬鹿にされるのは嫌いだよ。


「ちょっとこの二人を操るためにはどうすればいいのか考えたんだよ。そしたらいいキャラがいてさその名前は」

『『義輝様ぁぁあ!!!!』』


 二人の武将の領地から凄い量の軍団が函谷関に向けて出陣した。


「長慶さんは生かさず殺さずにして喜ぶ義輝さんのストーカー、義元さんは義輝さんに会いに行こうとしてしょっぱな桶狭間で首飛んだから義輝さんに執着しているんだと思ったんだよね」


 荒縄に巻かれていたのは第13代征夷大将軍足利義輝さんだった。


「周平っ!いくらなんでも酷すぎない!?」


 日照り神様が戦国時代最強クラスの軍団に囲まれる。


「勝つ為なら将軍でも使えって言うだろう?」

「言わないよっ!いったいいつ将軍が傍にいるのっ」


 日照り神様は無傷だけど狂ったように押し寄せてくる武士たちに身動きが取れない。わかっている、長慶さんと義元さんは私を動けなくさせるためものだ。


「そして最後はダムを爆破して資材を混ぜた水で友人と眞子さんごと流してやろう。俺の村は函谷関に守られて大丈夫だがジオフロントの湊の村は水没するかなぁ。位置的には微妙なんだよな」

「悪魔っ悪魔がいるぞっ!」

「くっここからじゃ間に合わないっ」


 友人君と眞子ちゃんが騒ぐ。


「これは対戦なんだよっ。負け犬の遠吠えは良い音色だ。それじゃポチっとな」


 周平が楽しそうにボタンを押した。

 爆破されるダム。このまま周平が一人勝ちになる。


「あれ?水量がショボくない?」


 爆破されたダムはから水は殆ど流れなかった。函谷関前にも来ていない。

「ふう、ようやく武士軍団を倒したよ。あれ?周平楽しそうにしてたのは終わった?」

「・・・やりやがったな湊」

「函谷関の奥だったら手を出せなかったけどね。一人勝ちしようとするからだよ周平」


 周平は函谷関より前にダムを造っていた。そこは日照り神様の能力が及ぶ場所だ。


「日照りには渇水も付属されているからねえ。ダムの水量は減らさせてもらったよ」


 本当に危なかった。周平は位置的に微妙と言っていたけどダムの位置が良くてジオフロントも水没していた。自爆覚悟の函谷関奥なら届かず、函谷関前なら日照り神様の能力で防がれる。


「さあ眞子ちゃんと友人君は相打ちになるだろうし、周平は切り札を全て使ってまな板の上の鯉状態。私の勝ちだねっ!」


 ぐぬぬといまだに争っている眞子ちゃんと友人君の口から漏れ出る。諦めないでプレイしているのはすごいね。


 やはり勝利はいいね!

 昨日は秋夜姉さんに遊ばれるし、朝は周平にメロメロにされるし。こう自分がされるがままはあまり好きじゃないんだよね。


「ふ、ふふふ。確定してないのに勝ち宣言とはまだまだだな湊」

「?いくら周平でもこの状態から逆転は無理だよね」


 周平は諦めていないようだけど全体MAP画面も周平の画面も確認した。周平には何もできない。


「甘い甘いぞ、このゲームが雨乞いフィーバータイム2でしかも2.14にバージョンアップされているんだからなぁ!」

『周平所有の水が大量に無くなったから神様が召喚されるよ』

「「「なっ!?」」」

「俺もコマンドをいろいろ調べてたんだよ。そしたら神様召喚というものがあってな。条件は普通にプレイしても不可能なものばかりだけど、日照り神様が手伝ってくれればどうにか召喚できそうだったんだよなこれが」

「まさかダムを函谷関前に設置したのは!?」

「そうだ日照りで一気に水を消費するためだ!」


 そこまで考えていたなんて・・・うん自慢げな周平も格好いいね。


「馬鹿な自慢している彼氏に見惚れているぞ」

「彼氏が馬鹿なら彼女も馬鹿ということですかね」


 外野がうるさいな。

 よしっ、受けて立ってあげようじゃないか。

 日照り神様が強すぎてかなり手を抜かないと瞬殺できたんだよね。まさか神様対決出来るとは思わなかった。


「俺の最後の切り札、台風の神よ現れよ!」


 日照り神様の前に風雨の竜巻が出現する。さすが神様演出が凝っている。


「あ?」

「「あちゃ~」」

「・・・」


 竜巻が収まった後に現れたのはスタイルの良い女の子。日照り神様は私と同じスラッとスタイルだ。


『台風の神様は召喚主との接触が多いちょっとエッチな神様だよ』


 うん骨村娘ちゃんいいこと教えてくれたね。

 さて日照り神様の技能で


『日照り神様(湊)の嫉妬神が選択されたよ。知力0になるけど神力が倍に増加するよ』


 持ち物の絵をポイッ


『日照り神様(湊)の持ち物の絵が無くなったから暴走するよ。暴走中は操作できないけど攻撃力が倍になるよ』


 はい今回のゲームは終了。

 極太長距離光線乱れ撃ちで日照り神様の一柱勝ち。暴走だから私の勝ちにはしないであげる。


 その後、一度対戦をすると解放されるのかキャラを自由に選択できるようになる。ただし日照り神様と白フン男装女武将は私達の間では禁止キャラに指定されることになった。

 でも新キャラに巨乳が多いのは何故かな?私と眞子ちゃんに喧嘩売っているのかな。特に白衣巨乳は許すまじ。時代もおかしいし。



 第三者視点


 秋夜が部屋に入ると四人は雑魚寝で眠っていた。

 横向きになっている周平の腹部に頭を入れて眠る湊。

 テーブルに背を預けて上を向いていびきをかいている友人の胡坐を枕にして眠っている眞子。


「こりゃあどんな状況なんだ?」

(なにが?)

「ああ、昼に話したろ。眞子と湊とその彼氏と俺の弟が寝てんだよ」


 秋夜はスマホで電話しながら四人を確認する。普通に眠ってるようなのでしばらく放置することに決めた。


 酒のつまみを取りにきた秋夜だったが、しばらく弟妹たちを肴にして飲むのを決める。相手は電話の彼氏だ。


「どうも例のゲームしていて眠ったみてえだな」

(例の?ああ雨乞いフィーバータイム2か。お前の弟も変なのするよな)

「お前の所でして面白かったから俺が勧めたんだよ。すぐに引っかかったけどな」

(ひでぇ姉だよお前・・・)


 くくっと笑う秋夜。


「お前ほどじゃねえよ。会社を買い取ってバージョンアップさせるなんて普通しねえぞ」

(あ~純さんがえらく気に入って続編が出ないってわかったら落ち込んでな仕方なくだ)

「純なら仕方ねえか」

(俺の癒しだからな)


 それから二人は身内の話をする。


「そういや、ときわからUSBを貰ってな。雨乞いフィーバータイム2をバージョンアップするときに本体に刺しとけ言われたから弟のに刺しといた」

(はあ!?USB?まさか2.14か!?ちょ、弟さんのゲーム機を調べろ秋夜)

「ああん?面倒くせぇな」


 ブツブツ言いながらも友人が持っていたコントローラーをもぎ取り操作する。


「ああ2.14になってるな」

(マジかー。あの鬼畜専用になっているのかぁ)

「これってお前の所でしたときのだよな?」

(そうだよ。まともな人はやっていけない身内専用に改造されたやつだ)

「俺のキャラクター暴君閻魔だったもんな。何も装備出来ない代わりに掴んだものが全て投げれるやつ」

(あれはお前専用だよ。俺なんて報復の魔王様だぞ。自分から攻撃できないのに反射で倍にして返せる頭おかしい設定だし)

「あれ面白かったな。何度か投げるの繰り返してつかみ損ねたら山が吹き飛んだし」

(うん、暴君閻魔はお前しか操作できないからね。ときわさんが身内用に作ったキャラでもほぼ最強キャラだから・・・もしかして弟さんのに入ってる?)

「入ってるな。暴君閻魔、報復の魔王様、多重人格無表情座敷童、巨乳白衣、巨乳単車、おい時代的におかしいのが入ってんぞ。あと巨乳が多すぎだ」

(やめて読むの止めて、身内用なの。ちょっと弟さんのゲーム機持ってきて新しいのに変えるからさ)

「いい、いい。こいつらも俺達と同じくらいおかしい連中だから、このままにしといたほうが面白いだろう」

(せめて身内キャラだけでも消去させてほしいな~)

「いつかこいつらも会うんだしこのままいいんだよ。そういやネット対戦できるようになったって言ってたよな。2.14もできるのか?」

(2.14同士だけな2.1のほうはキャラが選べるくらいにしかバージョンアップさせてないからグラフィックもシステムも別物だから無理)

「だったら今から俺とお前で対戦しようぜ」

(ええ~お前初手から突っ込んできて格闘ゲームなるからな~)

「あ、それが面白いんだろうがほらやるぞ」

(へいへい~)



ーーーーーーー

四人「「「「一緒にしないで!」」」」

秋夜「あん?普通にお前らおかしいだろ」

彼氏(2.14のシステムを使いこなせるだけでおかしいからね~)

四人「「「「こいつがあのゲームの元凶か・・・」」」」


雨乞いフィーバータイム2.14終了~ヽ(*´▽)ノ♪

やはりおかしくなっていたのは秋夜の彼氏が原因です!( ´∀`)

秋夜いらんことしたせいでもありますが。眞子がまだまだ常識があったので心にキズを負いましたね。

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