第3話 運命の出会い
ユウヤは昼食を食べた後、村の門から外に出た。
「ユウヤ、暗くなる前に帰って来いよ」
「はーい」
声をかけてきた門番にユウヤは手を上げて間延びする声で返した。
森にすぐに入って周りを警戒しながら、薪に出来そうな小枝を集め始めた。
ユウヤが薪拾いを始めてしばらく経ち、辺りが薄暗くなってきた頃、近くの茂みにが物音を立てて揺れた。
「何かいるのか?」
ユウヤは茂みを警戒して見ながら、いつでも逃げられる体制で待った。
少し経つと茂みから長い銀髪や顔や体を血で汚したユウヤと同じくらいの歳の少女が出てきた。
ユウヤは少女に驚き、倒れそうになった少女に走って近づき受け止めた。
「おい!大丈夫か!?」
「に、にげ、て……」
少女は途切れ途切れの声でユウヤに警告した後、気を失った。
ユウヤは少女の様子を調べるが、特にひどいけがをしているわけではなく返り血で汚れているようだった。
「何があったんだ?」
ユウヤは少女をお姫様抱っこして村に帰ろうとした時、少女が来たであろう方向から何かの声が聞こえた。
ユウヤが振り向くと、大きな熊のようで熊ではない何かが走ってきた。
熊のような何かの目は赤く、背筋が凍るような感覚に襲われる不気味な気配を放っていた。
「なんだよ、アレ!?」
ユウヤは何かを見ると、少女を抱えて村に向かって走り出した。
ユウヤは子供とは思えない速さで走って逃げているが、抱えている少女に気を使っているため、全力で走れず何かに距離をどんどん詰められていった。
(このままだと追いつかれる)
ユウヤは辺りを見て、周りを確認すると大人の握り拳程度の石を見つけた。
ユウヤは石に近づいて左手で掴み、何かに向かって全力で投げつけた。
石は何かの右前足に当たり砕け散り、何かは大きな音を立てて盛大に倒れた。
(今なら逃げ切れる)
何かが倒れていることを確認してユウヤは再び村に向かって走り出した。
少し走ると、村の門に着いた。
門に近づくと、ユウヤの様子と抱えている少女を見て近づいて来た。
「何があった!?」
「不気味な気配を放つ熊みたいな化け物に襲われた」
「!?そいつの目は赤かったか?」
「赤かった。熊よりもかなり足が速かったし、投げつけた石が砕けるくらい体が硬かった」
「やっぱり、熊の魔物か」
「魔物!?あれが」
「説明は後だ。ユウヤはその子をイリス先生のところに連れて行きなさい」
「分かった」
ユウヤが村の中に入りイリスが医者をやっている病院に向かって走りだした。
ユウヤが行ったことを確認すると、門番はもう一人に声をかけた。
「お前は急いで兵士を集めて来い。相手は熊の魔物だ」
「分かりました」
門番の一人がユウヤと同じように村の中に向かって走っていった。
「熊の魔物、犠牲なく狩れるといいんだけどな」
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