第45話 ギルドへの報告
ユウヤとレティシアは謎の魔物がいた洞窟から離れると、魔物に気づかれない位置で魔物が暴れまわってないかしばらく観察した。
魔物は洞窟から出て回りを軽く探した後、すぐに洞窟の中に戻っていった。
二人はそれを見届けてギルドに向かって移動を始めた。
ギルトに着いたのは夕方で日が沈み始めていた。
「大分時間が掛かったな」
「そうね」
ユウヤはギルドに入る前に沈みかけている夕日を見て昨日のマユリとの話を考えていた。
(マユリのライブ行けそうにないな)
ユウヤは次にマユリに会った時に謝ることを決めて、レティシアと一緒にギルドの中に入った。
二人がギルドに入ると、スカーレットが受付カウンターから出てきてギルドマスターの部屋に案内してくれた。
ギルドマスターの部屋で四人がソファーに座った後、グラムがユウヤ達に話を振った。
「それで魔物は討伐出来たか?」
「いや、無理だった」
「そうか。倒すのは無理そうか?」
「あのままだと無理だな」
「詳しく話してくれ」
グラムは真剣な顔でユウヤ達に話を振った。
ユウヤがレティシアに軽く視線を向けると、レティシアはユウヤに軽く頷いて返した。
「あの魔物は山の地下深いところに本体が隠れている。洞窟内にいた分身体も複数ある核を破壊しないと倒せない上に、本体と分身体が一瞬でもつながれば分身体はいくらでも復活する」
「それは厄介だな……他に何かあるか?」
「分身体は単体でもかなりの戦力だけど、知能が低いせいか攻撃はワンパターンで魔法の類は使ってこなかった。けど、本体とつながった瞬間に魔法を使いだしたから、本体の知能は大分高いと思うわ」
「なるほど」
ユウヤの説明を聞いて問い返したグラムにレティシアが追加で説明をした。
二人の説明を聞いたグラムは黙って考えた後、二人に話しかけた。
「仮に本体が山の中から出てきたら、倒すことは出来そうか?」
「分からない。あの魔物、俺達が分身体を倒して洞窟から出ようとした時、突然魔力が急上昇した」
「魔力が急上昇ですか?」
ユウヤとグラムの話にずっと黙っていたスカーレットが首を傾げて話に割って入った。
「はい、何の前触れもなくいきなり魔力量が増えて、私とユウヤは洞窟から慌てて逃げ出すことになりました」
「魔力の上昇した理由を探らないで戦ったらもしかしたら、俺達の手に負えなくなるほど魔力が上昇する可能性がある」
「そうか」
「だから、悪いが今回の依頼は辞退させてくれ」
「どうしてだ?」
ユウヤの言葉にグラムが少し慌てたが表情に出さずに問い返した。
「俺達は少し先を急いでる。あまりこの町に長居が出来ないんだ」
「何かあるのか?」
「母さんが病気でな。東の国にある秘薬を探しに向かっている途中なんだ」
「そうか」
「あの魔物が俺達が出発する前に出てくれば討伐に参加するが、そうでないなら討伐は手伝えそうにない」
「……」
ユウヤの言葉を聞いてグラムは黙って考え始め、しばらく考えるとユウヤ達に話しかけた。
「三日……」
「ん?」
「後三日だけ、町にいてもらえないだろうか?」
「三日ならいいが、なんでだ?」
「先ほど、他の町の冒険者ギルドに依頼していたSランクの応援が四日後に来るんだ。それまでの間、あの魔物が襲ってきたら町を守ることが出来ない。だから、四日後Sランク冒険者が来るまでの間、この町を守って欲しいんだ」
「まあ、それなら問題ない」
「ありがとう。助かるよ」
グラムの言葉にユウヤは了承すると、グラムは安堵したように笑顔になってユウヤ達に頭を下げた。
ユウヤは話が終わったことを確認すると、立ち上がり扉の前まで移動した。
「それじゃあ、三日間は特に依頼も受けずに町の中で過ごしているから何かあったら言ってくれ」
「分かった」
「それじゃあ、レティシア帰るぞ」
「ん」
ユウヤに言われてレティシアもギルドマスターの部屋から出て行き、二人はギルドから外に出た。
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