第71話 対魔物の剣技
ユウヤが祭りの準備を手伝い始めたことでユウヤの修行の時間は減ったが、イザナミが常にユウヤの修行を見ることが出来るようになった。
それにより、ユウヤの修行はイザナミが予想していたより早く進み、一ヶ月で終わると考えていた第二段階の修行が二週間と少しで終わった。
ユウヤは自らが手で斬った岩の前で少し驚きながら自分の手を見ていた。
「こんなに早く出来るとはな」
「ええ、私も驚きました。これなら次の修行に入っても大丈夫ですね」
「そうだな。次は何をするんだ?」
「次は剣技の修行よ」
「剣技か、具体的に何をするんだ?」
「剣技に関してはユウヤに考えてもらわないとだめなのよね」
「は?」
イザナミの答えにユウヤは意味が分からずに素っ頓狂な声を出した。
「どういうことだ?」
「昨日説明したでしょ、剣技は相手の急所を狙う技だって。ユウヤが戦う相手を私は知らないからどんな剣技がいいか教えられないわよ」
「確かに……そうだな……」
ユウヤはイザナミに言われて今まで戦ってきた魔物達を思い出しながらどういう剣技がいいか考え始めた。
しばらく考えてユウヤが行きついた答えは、分からないだった。
「なあ、イザナミ。急所が特定の位置にない敵や体が流体の敵に対抗する剣技はあるのか?」
「それは……ないかな」
「……じゃあ、どうすればいいんだ?」
「そうね……」
イザナミはユウヤに教える剣技について考え始めたが、いくら神でも無限に等しいパターンを数個の剣技に絞ることなど出来るわけがない。
「すぐには答えは出せないから、しばらくの間剣技については考えておくわ」
「分かった。その間俺は何をしてすればいい?」
「今までの修行を刀で練習して出来るだけ慣れて置いて、剣技の修行だと連続してやることになるから」
「分かった」
それから一週間近くイザナミはユウヤの剣技について考えながら、祭りの準備と舞の練習をして過ごした。
ユウヤは、イザナミとは別に剣技について考えながら今までの修行で出来るようになったことを刀で練習し、昼まではイザナミの祭りの準備の手伝いをして過ごした。
祭りまであと二週間になった日に、祭りの準備が終わり二人が昼食を食べている時にイザナミがユウヤに剣技について話しかけた。
「ユウヤ、剣技についてなんだけど何か思い付いた?」
「いや、全くだ」
「そう。私は一つだけ思い付いたけど……」
「本当か、それは一体どんな剣技なんだ?」
「思い付きはしたんだけど、かなり難しくて大変よ」
「他にないなら、頑張ってやるしかないだろ」
「分かったわ」
イザナミはユウヤの目を見てユウヤが本気なのを確認し、イザナミは一端箸を置いたのを見てユウヤも箸を置いて聞く体制に入った。
「私が考えたのは普通の剣技と同じで基本の型を組み合わせてやることは変わらないわ」
「じゃあ何が違うんだ?」
「まず、すべての太刀をどんな体制でも出せて次の太刀につなげられるようになってもらうわ」
「他には?」
「組み合わせの最初と最後を同じ型にして無限に続けられるようにするだけよ」
「それを出来るようになればいいのか?」
「ええ、そうよ。けど、かなり大変よ」
「……具体的に何が難しいんだ?」
ユウヤはイザナミの言っていることが良くわからずに問い返した。
「相手の急所や攻撃、防御を見極めて攻撃を避けて防御されてない急所を狙うために一太刀ごとに判断する必要があるわ。連撃をつなげるためには決めた組み合わせを崩さずにつなげないといけないことね」
「確かに判断は大変そうだが、つなげるのはそんなに大変なのか?」
「まあ、それはやってみれば分かるわ」
「分かった。組み合わせは決めてあるのか?」
「決めてないわよ。組み合わせはユウヤが一番得意なものにした方がいいから、最初と最後が同じなら何でもいいから考えてみて、決まったら修行に入るから」
「分かった」
「じゃあ、昼食を食べましょうか」
「そうだな」
二人は箸を持って昼食を食べるのを再開した。
二人は食べ終わると、イザナミは舞の練習に建物の中で木刀を持って舞い始め、ユウヤは建物の裏で刀を持って斬撃を飛ばす練習をしながら、基本の型を試しにつなげて組み合わせを考え始めた。
ユウヤが組み合わせを考え始めて少し経つが、未だに上手くつながる組み合わせが見つからず時間だけが過ぎて行った。
ユウヤが組み合わせを考え始めて二週間が経ち祭りの日が来た。
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